ところで、ダルビッシュを中心に団結する投手陣とは裏腹に、野手陣はリーダー不在のようだ。その影響なのか、温暖な南国の気候も相まって、緊張感のない雰囲気が漂う。日本代表チームにピリついたレギュラー争いはないのだろうか。山川に聞いてみたところ、
「どうでしょう‥‥? 確かに、自チームでメヒア(37)とレギュラー争いをしていた時とは明らかに違いますよね。あの時はバチバチの関係で、ファーストで一緒にノックを受けている時も一切しゃべりませんでしたもんね。そもそも英語ができないので、しゃべれないんですけどね(笑)。シーズン中もメヒアが打った時はめちゃくちゃ悔しがりましたが、今はポジションが被る巨人の岡本和真(26)がヒットを打っても同じ感情にはなりません。むしろ勝つために応援しますよ」
と、一瞬考え込みながらも饒舌に語ってくれた。チームが同じ方向を向いているのは、むしろいいことか。栗山英樹監督(61)も「競争よりは、勝つためにいちばん調子のいい人に試合に出てもらうことしか考えていない」とキッパリ。複数の選手が代表入りしているファーストやセカンドの起用は最後の最後まで流動的になりそうだ。
そんな中、25日と26日の強化試合のオーダー選考を任されたのは吉村禎章打撃コーチ(59)。なんでも、打順よりも悩ましい事態に直面していたという。
「本人がチームに馴染めていないんです。一流のバッターばかりで教えられることがなく居場所がありません。『山川が言うことを聞いてくれないよ』なんて愚痴までこぼしているそうです」(球界関係者)
そもそも今回の日本代表は、白井一幸ヘッド(61)、清水雅治外野守備走塁コーチ(58)、吉井理人投手コーチ(57)、厚澤和幸ブルペン担当コーチ(50)、城石憲之内野・守備走塁コーチ(49)とほとんどの首脳陣が栗山監督と旧知の日ハム人脈で固められている。
「村田善則バッテリーコーチ(48)にしても、15年にスコアラーに就任してから日本代表を歴任。WBCを主催する読売サイドからプッシュされた人材とはいえ、吉村コーチだけが外様なので気の毒ですよ」(スポーツ紙デスク)
確かに、メイングラウンドや室内練習場で所在なさげに遠くを見つめている姿が目につく。ダルビッシュの面倒見は、首脳陣にまで広げる必要があるのだろうか。