2025年3月に開幕予定の大阪万博に、暗雲が垂れ込めている。あと2年しかないのに、開催地である夢洲の工事が開始されていないのだ。
「大阪万博は維新の会が音頭を取って政府に働きかけ、誘致に成功したのですが、当の維新の会はなぜか、熱意を失ってしまった。それでうまくいかなくなったのです」(全国紙社会部記者)
万博には150 カ国が参加する予定だが、参加の調印を交わしているのは現在、なんと10カ国だけである。開幕まで2年しかないのに、この状況は異常事態と言えよう。
「大阪で万博を話題にする市民はほとんどいません。大阪人は興味がないんじゃないでしょうか。それで景気がよくなるという保証もないし、うるさくなるだけじゃないか、という程度です」(大阪ミナミの商店主)
そもそも70年に大阪万博を開催した時とは、事情が大きく異なっている。高度成長まっさかりの70年万博は、日本の希望と明るい未来が待つ、お祭りだったのだ。しかし、今の日本にはそうした希望もなければ、明るい将来も望めない。
21年の東京五輪は、今となってはありとあらゆる汚職にまみれた「汚れた五輪」として記憶されてしまった。大阪万博もそうなるのではないかと、心配する声は少なくない。
「スーパーゼネコンが万博工事に参加するために裏の手を使っている、という噂も広がっています。東京五輪と同じように、万博が終わったら大阪地検が動くんじゃないか。検察も万博閉幕を待ち望んでいるのではないかと、記者たちの間で笑い話になっています」(前出・社会部記者)
夢洲の工事を始めようとしても、資材を運搬するための交通インフラすら整備されておらず、大阪市内から夢洲への接続道路が片側2車線である現状を片側3車線に改装しようという計画が、秘かに立てられている。在阪テレビ局員が溜め息をつく。
「今頃になって道路を改装するなど、あり得ません。いかに計画が杜撰であるかがわかる。やる気がないと思われてもしょうがないです」
このグダグダ万博に、関係者からは「間に合わせるのは無理だ」との声が上がっているという。だが、そうしたニュースは流れていない。
「いや、2年前だから徹夜の突貫工事ならまだ間に合う」
ゼネコン関係者は強気に振る舞うが、その保証すらないのだ。
このままでは間違いなく、大阪万博を予定通りに開幕するのは不可能に近い。となれば、どうするのか。万博の関係者が打ち明ける。
「開幕日を遅らせるのです。ドバイの万博は新型コロナの影響で、半年も遅らせました。大阪もそれに倣ってやればいい。いちばんいいのは、気候を考慮して1年延期がいいんじゃないでしょうか」
なるほど、恥も外聞もかなぐり捨てて延期もいいかもしれないが、そもそも人々が望んでいなかった万博を持ってきたのが間違いだった。今からでも「万博返還」する。それもひとつの手ではないだろうか。