「政界の第3極」となるべく合体した「日本維新の会」と「結いの党」。新名称は「維新の党」に決まったが、早くも足並みの乱れが次々明らかに。“禍根”を残しての船出は波乱含みなのだ。
地域主権を唱える橋下徹代表(45)率いる「日本維新の会」と野党再編を宿願とする江田憲司代表(58)のもとに集結した「結いの党」。まさに相思相愛かと思いきや、両者の思惑が渦巻く政略結婚そのものだったのだ。政治部記者がドタバタ模様を振り返る。
「両党ともに、反対勢力を切り捨てて臨んだ合併だけに、いきなりここまで紛糾するなんて思いもしなかった。新党名を決める両党合同の両院議員懇談会は10日、当初の予定から3時間以上も遅れて始まり、最後は多数決という不信感を募らせる結果となった」
この日の13時02分、議員秘書が退室させられる中、両者間の協議が決裂し、維新の議員のみの会議が挙行された。
「最初に維新が提示していた『日本維新の党』と『維新の会』の2案は取り下げて、新たに『維新の党』と『維新党』、さらに土壇場になってごねる江田対策として、結い側からの『改革維新の会』を入れて3案を再提示し、最後は多数決による採択でいくことが確認されたようです」(さる議員秘書)
全国紙政治部デスクもあきれ顔で解説する。
「そもそも7日に都内のホテルで行われた新党設立準備会の席では、両党で『維新を含む新党名』で合意していたんですよ。ところが9日の幹部間の事前調整の席で維新側の提示の2案に対して、結いは『代わり映えしない』と突き返し、江田代表が刷新された新鮮なイメージを要求し始めた。この変貌に、いつも温厚な松野頼久国会議員団代表さえも、『今になって何を言いだすんだ!』と怒りをあらわにし、合流破談の空気まで流れたんです」
維新の幹部が「(議員)数ではこっちが勝ってるんだぞ。この案でいくか、合併をやめるか」と迫れば、結いの幹部も負けじと「全て崩れていいのか」と応酬する始末だったという。前出・記者が続ける。
「その夜には橋下代表まで、『もうつきあいきれない! あ党でも、い党でも、う党でも何でもいい!』と、語気を荒らげるほどでした。何とか松井一郎幹事長が江田代表と調整を重ね、10日を迎えたものでした」
ここまで「ルールに沿って準備してきた」(維新幹部)ものの、最終的には15時06分から双方合わせて52人による投票の準備が始まり、15時21分に新党名が「維新の党」(41票)に決まった。前出・全国紙政治部デスクが紛糾の裏側をこう話す。
「今回の合流は誰の目にも維新の『吸収合併』です。国会議員数は衆参14人と小所帯の結いに比べ、維新は衆参38人。結いがほぼ比例代表に対し、維新は大阪ばかりとはいえ12人が小選挙区で勝ち上がっている。それでも、結いとしては『対等合併』なんだと強くアピールしたかった」
政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が話す。
「バラバラ野党の再編の第一歩として期待を寄せるものの、この先も簡単にはいかないでしょう。お互いの政策も焦点になるが、それよりも両代表の個性の強さが心配です」
橋下代表は石原慎太郎衆議院議員ら旧太陽の党との合併破綻の“前科”の持ち主。同じ轍を踏まねばいいが‥‥。