66歳で亡くなった笑福亭笑瓶さんの葬儀・告別式が2月27日に行われ、多くの芸人仲間が見送った。死因は急性大動脈乖離だった。
笑瓶さんは15年12月にも大動脈解離に見舞われ、九死に一生を経験していたことは知られているが、生前にはその時の様子を克明に語っていた。同じ病気を抱えそうな人のために、笑瓶さんが語った当時の様子を記すと…。
暮れも押し迫った12月29日、千葉のゴルフ場でのことだった。何の前触れもなく、心臓の裏側にバリバリという引きちぎられるような痛みが走った。息もできないような激痛で立っていることもできず、その場にしゃがみこんだ。「これはヤバイ」と思った笑瓶さんは、一緒にラウンドしていた神奈月に救急車を呼んでもらったという。
とりあえず、しばらくコースの隅で痛みをこらえてから、レストハウスに向かった。その時に「このまま死ぬんちゃうか」と思ったそうだ。そこへレストハウスのおばちゃんが様子を見に来て、「水が飲みたい」と言ったら急いで持ってきてくれた。そこでやや落ち着きを取り戻したという。
だが、しばらくして気がついた時は、太い血管がミミズみたいにチュルチュルと動いた感じがしたそうで、その時は「これが最期」と覚悟したとか。
それから遠くで救急車のサイレンが鳴り、ホッとしたのだが、隊員は笑瓶さんがどこで倒れているのかわからず、到着するまでに少々時間を要した。笑瓶さんの元にストレッチャーが運ばれてきた頃には、救急車を呼んでから約30分が経過していた。
助かったのは、救急車を呼んだ時点でドクターヘリの手配もしてくれていたことにある。すぐに千葉県君津市内の病院に搬送され、緊急治療を受けた。診察では心臓の左心室の上にある上行大動脈「急性大動脈解離」と診断された。手術の必要はなく、翌1月14日に退院して事なきを得た。
病気の理由として考えられるのは高血圧、睡眠不足、冬の冷たい外気だと、本人は語っている。
千葉で倒れてからおよそ7年。健康には十分注意していたはずだが、同じ病気で亡くなってしまった。再発する「急性大動脈解離」の恐ろしさを改めて世に知らしめた、笑瓶さんの死だった。