大炎上中のコオロギ食だが、食物アレルギーがある人以外にも食べてはいけない人がいる。痛風患者だ。
2014年にチェコのメンデル大学の医師らが、ミミズやコウロギと鶏肉などの栄養成分を比較。「コオロギは卵白や鶏肉と比べてプリン体含有量が高く、痛風や抗尿酸血症の患者には適さない」と結論づけている。
乾燥コオロギ100グラムに含まれるプリン体の含有量を、同じ量のアン肝と比較すると、10倍。それならコオロギ以上にタンパク質が含まれる日本の伝統食「煮干し」の方が優れていることになる。それでも高アミノ酸食材にはプリン体が含まれているため、主食に混ぜるのはもってのほかなのだ。都内の痛風外来の医師は、
「コオロギ食を推し進める人たちが『痛風持ちの人は食べてはいけない』と情報開示しないのはアンフェアだし、プリン体が多く含まれていることを知らない消費者がコオロギパウダーで調理して痛風発作を起こすリスクもある」
と指摘する。
しかも食用コオロギのエサは、トウモロコシやキャッサバだという。
人間が食べる芋やトウモロコシを虫に与え、人間は虫を食え…!? 論理が完全に破綻しているのだ。
ちなみにコオロギを主食とするペット用のトカゲ等の爬虫類も、コオロギを与えられ続けると抗尿酸血症を引き起こすと、獣医学では指摘されている。トカゲにも痛風の危険が迫るのだ。
食糧難ともなれば、飲水用の水資源も枯渇することが想定されるわけで、飲料水も満足に飲めない中、コオロギを食べ続ければ抗尿酸血症でない人も痛風になる恐れがある。
もし食糧難になった時に、コオロギを食べ続けても平気なのか。ぜひコオロギ食をゴリ押しする国会議員センセイたちで人体実験し、我々庶民に教えていただきたい。
(那須優子/医療ジャーナリスト)