大谷の活躍を呼び水に、日本人メジャー市場が活性化している。いわばWBCは格好の発掘見本市。メジャースカウトが見定めた、侍ナインの最新査定額を公開しよう。
メジャーリーグ事情に詳しいスポーツライター・友成那智氏が明かす。
「メジャーでの日本人評価は、そもそも野手よりも投手のほうが圧倒的に上です。西岡剛(38)や中島宏之(40)、直近では筒香嘉智(31)、秋山翔吾(34)など、大谷を除いて日本人野手が成績を残した例が皆無で、評価が地の底まで落ちています。日本人に限らず、FA市場では先発投手の価値が天井知らずで高騰しており、高額契約を勝ち取るのはほとんどが先発投手に限られているのです」
つまりWBC東京プールにおいて、スカウトの視線はドームのマウンド上に集中していたということだ。
「メッツに入団した千賀滉大(30)は5年100億円(推定)の契約でした。日本の感覚ではとてつもない大型契約ですが、実際には契約直前の検査で故障かどうか疑わしい結果が出て、2~3割減額したと聞きます。その千賀よりメジャーの評価が高いのが山本由伸(24)です」(前出・友成氏)
今や日本球界ナンバーワンの投手に成長した山本だが、WBC本戦前の強化試合では失点を重ねた。これにより評価を落としたかと思いきや、
「あくまで調整段階だったからで、大事なオーストラリア戦では4回無失点。多少、直球がシュート回転していたものの、ほぼ完璧にストライクゾーンの四隅に投げ分けていました。この精密なコントロールは千賀にはないもので、各球団のスカウト陣も舌を巻くほどでした」(球界関係者)
年齢も若く、今オフのポスティングで7年以上の長期契約も見込めるとあって、次期日本人メジャーの最右翼の座は揺るがない。
「少なく見積もっても150億、中には『200億円以上の超大型契約になるんじゃないか?』という声すら聞こえてくる」(前出・友成氏)
続いて、それ以降に挑戦するであろう佐々木朗希も同等の評価だという。
「昨年の完全試合達成以前から、ピッチャーとしては大谷を超える評価です。高校時代の監督の起用法により、使い減りしていないのも魅力。ロッテ入団後も吉井理人現監督(57)が無茶をさせずに育てたことで、ますます評価が上がっている。初登板で3回3分の2投げて8奪三振の快投を見せましたが、各球団とも長期契約して息の長いエースとして迎え入れようとしています。佐々木はロッテと『自分の行きたいタイミングでメジャー挑戦できる』契約だと言われていますからね」(MLB関係者)
今回、スカウト評が急上昇したのが、DeNAのエース・今永昇太(29)である。
「左で153キロの直球を投げられる先発投手はメジャーでも希少な存在。宮崎キャンプでドジャースのスカウトが投球を見て『彼は掘り出し物だ』と絶賛していた。本人にもメジャー移籍への色気があり、ポスティング移籍を表明すれば獲得競争になるのは必至でしょう。年俸も10~15億円は固いはず」(メジャー担当記者)
侍ジャパンのブルペンには常に熱視線が注がれている。名が挙がるピッチャーは枚挙に暇がなく、
「高橋宏斗(20)や伊藤大海(25)、宇田川優希(24)のような、速球と落ちる球で抑えるタイプは非常にメジャー向き。今後、在日スカウトが張り付くことになるでしょうね」(前出・友成氏)
いずれも10億円クラスの契約が見込めるという。また、メジャー球団関係者からはこんな声も飛び出した。
「大勢(23)の球質が重いストレートはいいね。あれならメジャーの打者のパワーに負けない。WBC公式球との順応も合格点だ」
冒頭で述べたように、投手とは打って変わって、野手への評価はどうにも辛い。特に不振の4番・村上宗隆(23)への評価は散々だった。
「宮崎キャンプの序盤はサク越え連発だったが、東京プールではあの始末。正直、見なかったことにしたいね。まだ先がある若い選手だからな」(前出・メジャー球団関係者)
若き大砲が沈む一方で、レッドソックスに「5年120億円」と破格の値付けをされた吉田正尚(29)は評判通りの結果を残したが、
「吉田は日本人野手の中でも別格で、メジャーでの認識は『世界一出塁率が高い選手』。とはいえ、野手にこの金額は例外的なもので、スカウトも他の野手はさほど熱心に見ていないのでは」(前出・友成氏)
東京ドームでは爆発した侍打線だが、大谷に続く「2匹目のドジョウ」はなかなか難しいようだ。