「魔女」と呼ばれた大食い女王でも、病魔を平らげることはできなかった──。
「大食い女王決定戦」(テレビ東京系)や「デカ盛りハンター」(テレビ東京系)、「水曜日のダウンタウン」(TBS系)に出演し、「魔女菅原」の愛称で親しまれた菅原初代さんが亡くなったと、3月16日に菅原さんのツイッターを通じて関係者が明らかにした。
菅原さんは昨年6月にステージ4の大腸ガンであることがわかり、治療に専念していた。永遠の眠りについたのは、3月9日深夜だった。
レジェンドの訃報に、大食い界からは悲しみの声が上がっている。「大食い女王決定戦」でMCを務めた中村ゆうじはツイッターで「大食い女子選手が、私、お米、月30キロ食べるの 魔女菅原すかさず甘い!私は月60キロ!! そんな無茶苦茶な菅原さんが好きでした。サヨナラ 菅原さん」と投稿。大食いファイターの「はらぺこツインズ」のあことかこ、「おしんちゃん」ことおごせ綾、飲食店の経営者たちも次々と、ツイッターに追悼の投稿を行った。
菅原さんの存在感の大きさを、テレビ誌記者が振り返る。
「成績は女子トップ。『大食い女王決定戦』で08年から10年まで3連覇を達成し、19年、21年も優勝しています。ですが、菅原さんは成績だけでは語れません。『大食い女王決定戦』の番組スタッフと出場者との間に溝ができた時、菅原さんは誰よりも早くそれを認め、関係改善のために意見を述べたことがありました。菅原さんの尽力もあって、『大食い女王決定戦』は18年にスタッフを入れ替えて、リニューアル。魔女がいなければ、番組は続いていなかったかもしれません」
そんなレジェンドがこの世を去ったことは、大食い界に山盛りの影響を与えそうだ。特に影響を受けるのが「国別対抗!大食い世界一決定戦」(テレビ東京系)だ、とテレビ関係者は言う。
「4人の日本代表がアメリカやイギリス、台湾の大食い代表と戦うものです。アメリカ代表のモリー・スカイラーという女性選手が強く、日本は一度もアメリカに勝ったことがありません。そこで16年の大会では、日本の秘密兵器として菅原さんに白羽の矢が立てられました。この時、菅原さんは第一線を退いていましたが、日本のために、5年ぶりに選手として復帰。惜しくもスカイラーには敗れましたが、この激突は伝説になっています。近年はコロナ禍の影響で行われていませんが、そろそろ再開されるはず。でも、菅原さんはいません。スカイラーとの再戦で勝つところを見たかった」
菅原さんが大きくした大食いの火を、後輩たちは燃やし続けてほしい。