ロシアがウクライナへの侵略を開始してから1年余り、国際刑事裁判所(ICC)がロシアのプーチン大統領らに「逮捕状」を発出し、プーチンらの「戦争犯罪」に対する訴追に踏み切ったことについて、欧米各国からは強い支持の表明が相次いでいる。
欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は早速、「ICCの仕事ぶりを評価し、協力する」とツイッターに投稿。そのEUからは、ICCとは別にロシアの戦争犯罪を裁く「特別法廷」の設置を検討している旨の表明もなされた。
また、ICCに加盟していないアメリカのバイデン大統領も「妥当だ。非常に力強い指摘だと思う」とICCの英断を評価。アメリカの国家安全保障会議(NSC)の報道官も「戦争犯罪人に対する責任追及を支持する」と、強い調子で賛意を示した。
さらに、国連の安全保障理事会の公開会合でも、各国の代表らが「(逮捕状の発出は)責任追及を確実にするための第一歩だ」などと、強い支持を相次いで表明したのだ。
そんな中、欧米各国ではICCの戦争犯罪訴追に対する、さらなる期待の声が上がっているという。事情に明るい国際政治ジャーナリストは、
「実は今、欧米各国の首脳やその周辺から『この際、ICCはプーチン大統領だけではなく、中国の習近平国家主席や北朝鮮の金正恩総書記も訴追の対象にすべきだ』との強硬論が、秘かに上がり始めている。中には『習近平と金正恩よ、次はオマエらの番だ。首を洗って待っていろ』という、激しいオフレコ発言を口にする首脳側近もいました」
習近平と金正恩には、ウクライナ侵略に使用される武器をロシアに提供している、あるいは提供しようとしている、との疑惑が囁かれている。
「実はこの点についてはICCも立証に向けた準備を進めており、立証のメドが立てば、プーチンと同様、習近平と金正恩に対しても逮捕状が発出され、戦争犯罪の共犯者として訴追されることになります」(前出・国際政治ジャーナリスト)
折しも、習近平国家主席は3月20日に、ウクライナ侵攻後初となるロシア訪問を敢行。プーチン大統領との会談では、武器の提供についても話し合われたとみられている。
プーチンと習近平と金正恩。「悪の枢軸」と酷評される3人の独裁者は、国際司法の場で裁かれることになるのか。ICCの動向から目が離せない。