桜の満開発表が続き、全国各地で花見のピークを迎えている。特に桜の旅行先として人気なのは京都。例年より早く満開を迎えたことから、市内の桜の名所は、春休みで訪れる日本人や多くの外国人観光客で溢れている。
だが、3年ぶりの旅行客による混雑に、地元住民からは困惑の声が噴出しているのだ。
「平日でも人が多すぎて、渋滞に悩まされています。特に夕方になると市バスが混みすぎて、帰宅困難になるほど。仕事帰りに最寄りのバス停から乗ろうとしたら、バス停に50人以上も並んでいて驚きました。スーツケースを持っていたので、すぐに観光客だとわかりましたよ。バスはすぐ満席になってしまい、2本見送って、ようやく乗ることができました」(30代のOL)
また、他のサラリーマンからはこんな声も。
「四条烏丸に会社があるのですが、ランチ時は観光客だらけで、困っています。ランチ時間は1時間しかないので、なるべく近場で済ませたいのに、どこも行列ができている。先日、取引先とランチ商談があったのですが、予約でいっぱいで、入れるところがありませんでした。結局、知っているフレンチ料理店に行ったら『団体の予約があるので、今から40分ほどなら…』と申し訳なさそうに言われました。夜も混雑していて外食できそうにないし、しばらくコンビニとかで済ませるしかなさそうです」
京都市観光協会はオーバーツーリズム対策事業に取り組んでいるが、
「このままでは生活が脅かされるレベルになりかねない」
と京都市民は口にする。
加えて深刻なのが、タクシー運転手不足だ。コロナによる倒産や高齢乗務員の離職などで、京都のタクシーは年々、減っている。急な観光客の増加に、対応が追いつかない状況なのだ。平日でもタクシーを止めることはできず、スーツケースを持って公共交通機関を利用する人を多く見かける。
今後はさらに観光客の増加が見込まれるが、市民生活の懸念や観光客への対応など、課題山積なのである。