全国旅行支援割やインバウンドの回復により、各地に観光客が戻ってきている。だが、客が戻った今、全国的に不足しているのがタクシーだ。観光地のタクシー乗り場では100人以上が列をなすこともあり、夜中はさらに捕まらない場合もある。
運転手の高齢化や不透明な労働環境など、様々な理由が運転手不足の背景にあるとされるが、観光客誘致には致命的な問題だ。タクシー運転手に「ホンネ」を聞くと、
「確かにドライバーの数はコロナ前に比べると、ウチの会社だけでも4分の1程度にまで激減しましたね。でも正直に言うと、旅行者をあまり乗せたくないんですよ。大きいスーツケースを持って、4人で無理やり乗ろうとしてきたり、トランクに入らないから車内で抱えるように座って、車体が傷ついたり汚れたりすることもありました」(九州のタクシー運転手)
観光客の場合、大半が最寄り駅に向かうというが、一度、駅周辺に入ると車が多くなかなか抜け出せない。これも困りごとのひとつなのだ。あるいは、こんな切実な声も。
「配車アプリを導入しているのですが、繁華街に呼ばれると、渋滞や一方通行に巻き込まれて面倒です。それで遅れると文句を言われることもありますし。時間をかけて迎車しても、行き先は近場のホテルとかで、大した売り上げにならない。旅行者よりも今まで贔屓にしてくれた地元の常連客を乗せる方が、売り上げが上がりますね。最近は配車アプリの通知を切って、地元の人しか行かないようなスナック街で待機してます」(関西のタクシー運転手)
旅行者殺到による渋滞問題やマナー違反などの理由から、意図的に避けているタクシードライバーもいるのである。