ロシアのウクライナ侵攻を巡り、イギリス国防省は「ロシア軍の東部軍管区のムラドフ司令官が解任された可能性が高い」との見解を発表した。
ムラドフ氏はウクライナに侵攻した当初、首都キーウの制圧作戦で失敗。その後、司令官に就任し、激戦が続く東部ドネツク州で指揮を執っていたが、ここ数カ月で失敗を繰り返し、ロシア兵に多大な犠牲を出した。軍の内外では、批判が高まっていたという。
ロシア軍では昨年10月にも、西部軍管区のジュラブリョフ司令官が要衝を奪われたことにより、解任されている。国際ジャーナリストが解説する。
「思わしくない戦況から、焦る司令官が無謀な指令を下し、返り討ちを食らって大量の兵士を失っている。ただ、解任は引いて見れば、単にプーチン大統領が責任転嫁しているだけで、軍内部の不満のガス抜きということ。しかし、そんな状況にも限界が来ていると言えます」
ウクライナ軍参謀本部の見立てによれば、昨年末の時点でロシア軍の死者は侵攻以来10万人を突破したといい、3月末にはイギリス国防相がアメリカの最新推計として、22万人以上の兵士が戦死あるいは負傷したと発表。ここ最近は1日あたり1000人が犠牲になっており、兵士不足は深刻だ。
「そうした中、プーチンが最も頼りにしているのが軍事企業『ワグネル』の部隊で、ウクライナ東部バフムトの市庁舎制圧に成功したとの情報があります。しかしこの部隊、実態はロシアの刑務所で勧誘した囚人が主体で、それも底をつき始めた。『ワグネル』トップのプリゴジンが囚人以外の勧誘を始めています」(前出・国際ジャーナリスト)
以前から同部隊には、戦場で高揚感と無敵の感覚を与えるための薬物投与が指摘されていたが、こんな話もあるという。
「ワグネル部隊は『撃っても死なない』『死んだと思っても生き返る』とウクライナ軍に恐れられ、『ゾンビ兵』と呼ばれている。軍の増強を図りたいプーチンは今後、かき集められた兵士に積極的に薬物を支援し、バックアップするというのです」(軍事ライター)
プーチンの鬼畜ぶりが、いよいよ本領発揮となる。