その状態のまま、今シーズンがスタート。結果、ナゴヤドームでは鳴り物応援なしの試合が続くことになる。そして約束の期限を機に、「改善」を拒否した全ての応援団の不許可、排除が決定し、一般公募による新応援団結成へと舵を切ったのだ。
それにしても、応援団サイドはなぜそれほどまでに、ヤクザ応援団員を守ろうとしたのか。
「ナゴヤ球場時代から、地元ヤクザと中日球団はダフ屋問題や球場近辺に出店する弁当屋の利権などでモメていました。応援団には球団から優先的にチケットが配布され、それがダフ屋行為にも利用できる。例えばヤクルトの場合は、応援団に100枚ものチケットを渡すこともあった。神宮球場の空席を埋めるという意味も含んでいますが(笑)」(デスク)
さらに、選手個人との「深いつながり」が問題を助長すると指摘するのは、NPB関係者である。
「いわゆる『選手席』です。選手がお世話になった人などを招待するためのチケットで、全球団、1試合1選手につき2枚が割り当てられます。応援団は一般ファンよりも選手と交流が持ちやすく、個人的に親しくなるケースもありますが、選手はそんな応援団にチケットを渡すこともできる。例えばあるセ・リーグ球団では、1人の選手が複数の他選手の分を譲り受け、数十枚を集めて応援団員に渡していたりも。ヤクザ応援団はそれをダフ屋行為に使えるわけで、結構なシノギになりますからね。中日の場合、立浪和義氏(44)の例もあり、ヤクザには敏感になっている。彼ももともと応援団とのつきあいの中で、弘道会との黒い交際に発展した経緯がありますから‥‥」
名指しされた現解説者のミスタードラゴンズは現役時代、みずからのレイプ事件騒動を巡って複数のヤクザが事態収束に暗躍し、大問題に発展した過去がある。監督候補にたびたび浮上しながら見送られるのも、いまだそうした密接交際があるからだと言われている。球団関係者は、こんな内幕も暴露する。
「かつてパ・リーグ球団から中日に移籍してきた選手(現在は引退)はたびたびヤクザと食事をしては、1回100万円の小遣いを受け取っていた。そのヤクザは応援団に関係する人物で、その後、ダフ屋行為で逮捕されています。さらにこの選手にはおかしな出費が毎月80万円から100万円もあり、調査すると、チケットをみずから購入してヤクザ関係者に渡していたことが判明しました。恐らくダフ屋行為に使われたのでしょう」
落合GMとタッグを組んで逆転優勝を目指す谷繁中日はこれで、プロ野球利権に群がる勢力と完全決別となるか──。