シーズン途中での指揮官電撃解任。勝負の世界ではよくあることだが、中日ドラゴンズにおける「谷繁監督休養」発表には、球団を牛耳るGMの、異様とも言える「オレ流」暗躍があった。それこそが、チームを暗黒球団へと転落させた元凶だったのである。
本拠地でのヤクルト戦が行われる8月6日の午前中。中日・谷繁元信監督(46)は佐伯貴弘守備コーチ(46)とともに、西山和夫球団代表、佐々木崇夫球団社長に名古屋市内のホテルに呼び出され、「休養」を通告された。
兼任だった2年間が4位、5位。今年は専任となったが、この時点で8カード連続の負け越しで最下位に転落。観客動員にもかげりが見られたため、その責任を取らせた、事実上の「解任」だった。球団関係者が言う。
「監督にとっては、まさに寝耳に水の出来事だった。実は落合博満GM(62)が白井文吾オーナー(88)に『このままでは来年につながらない。すぐに谷繁をクビにしてください』と直訴したそうです」
白井オーナーがたまたまナゴヤドームに観戦に訪れた7月下旬のヤクルト戦で、ヤジに激怒した平田がファンとトラブルを起こした。ただ、その試合のヤジには「谷繁を辞めさせろ!」というものが多かったことも一因だったというが、
「実際、白井オーナーは『谷繁は試合中にクチャクチャとガムをかんでいて見苦しい』『負けているのに、ニヤニヤして佐伯と話をしていた』『水原茂のような監督を目指せと言ったのに、あいつは水原のことを知らなかった』などと采配以外の苦言を次々と展開しました」(地元関係者)
白井オーナーの落合氏擁護の裏には簡単に契約を切れない理由があるという。中日新聞関係者が明かす。
「落合GMの契約は3年で、来年1月末に切れますが、途中解約の場合、年俸の3倍の違約金を支払う、という契約になっているそうなんです。そんな違約金契約なんて聞いたことがありません」
解任騒動後、球団には「落合の責任はどうなった」「両成敗だろ」などという抗議が殺到したが、白井オーナーは、落合氏と契約を更新するつもりでいる。落合氏には、GMとしての数々の「悪行」が発覚しているにもかかわらず、だ。
オレ流GMの失敗の代表例は、この3年間のドラフトでの失敗だ。計21人を獲得したが、そのうち19人が社会人、大学、独立リーグ出身の即戦力候補。だが、戦力になっているのは中継ぎの又吉克樹(25)くらいで、レギュラー格になった選手は1人もいない。世代交代が進まず、高校生を獲得しないイビツなドラフトの悪影響が球団を弱体化させていると言える。前出・球団関係者が顔をしかめる。
「落合氏には独特の理論があり、失敗の多い高校生を育てるよりも、確実な社会人などを取ったほうが補強になるというものです。自身が大学、社会人と進んでプロで成功した体験からきているのでしょう。しかもスカウトの意見は聞かず、外部の人間の意見を聞いたうえで独断で決めてしまうので、谷繁監督は過去2年間、ドラフトで誰が指名されるのか、直前まで知らなかった。完全にカヤの外で、監督の意向は無視でした」