春競馬、中山開催の掉尾を飾るのは皐月賞。中距離競走が幅を利かす中、芝2000メートルで争われるこのクラシックレースは、年々、層の厚みが増し、価値が上がってきている。
牝馬による桜花賞とは異にして、下馬評では確たる主力になる馬がおらず、混戦模様とみられている。なるほど、抜けて強いと思える馬がいない反面、将来性が高い素質馬がそろい、どう転ぶか予断を許さない一戦。ハイレベルで見応えある熱戦が見られそうだ。
争覇圏内にあると評価される馬をざっと挙げると、京成杯を制したソールオリエンス、弥生賞の1、2着馬タスティエーラとトップナイフ、共同通信杯で1、2着したファントムシーフとタッチウッド、スプリングSの覇者ベラジオオペラ、朝日杯FSの2着馬ダノンタッチダウンといったところだが、エントリーしている18頭は、どれもが脈のある馬ばかり。
今年で83回目を迎えるが、これだけ群雄割拠のつかみどころがない皐月賞は、私の知る限り初めてである。
まずは過去のデータを見てみよう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は8回(馬連5回)。この間、1番人気馬は6勝(2着3回)、2番人気馬は2勝(2着4回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回。下馬評どおり堅く収まることもあるが、やはり波乱含みのクラシックと言ってよさそうだ。
3歳馬はこれからが成長期。素質に体力がついていけず能力を発揮できない馬もいれば、潜在能力はそれほどではないものの、上手に仕上げられて大仕事を成し遂げてしまう馬もいる。能力を知り、仕上がり状態をしっかりつかむ。これが今回の馬券作戦の肝ではないだろうか。
そうしたことを踏まえて最も期待を寄せてみたいのは、グリューネグリーンだ。前々走のホープフルSは11着、前走の弥生賞は8着と前2走とも期待を裏切った。ジョッキーもデムーロ騎手から石川騎手に乗り替わるとあって評価は下がったが、見捨てるわけには断じていかない。
前々走はややテンションが高く、パドックから落ち着きを欠いていたし、前走は体重10キロ増で少しばかり重め残りの状態だった。それでも両レースとも勝ち馬との差はそう大きくなく、挽回は十分に可能だ。
今回は1週前の追い切りでビッシリ追われ、古馬のオープン馬を半馬身斬り捨てる抜群の動きを披露。この好内容に相沢調教師は、「活気があって体調は間違いなくアップしている。来週もビッシリと追う」と相好を崩し、「今回は逃げ馬もいて、その後ろで積極的に運びたい」と、戦法も明かしたほど。
好タイムで京都2歳Sを制した際は、逃げ切ってのものだが、強烈な決め手のある馬ではないだけに、確かに前々での競馬が理想的だろう。
祖母ウメノファイバーはオークス馬。巻き返しがあって何の不思議もなく、良馬場条件に大きく狙ってみたい。
穴中の穴は、ウインオーディンだ。出遅れたり、引っかかったりと、まだ若さを残すが、それでいて新潟2歳Sで2着した馬。前走の共同通信杯も5着とはいえ、勝馬とはコンマ5秒差だった。
母系は欧州の一流血脈だけに、一発があっていい。