徳川将軍剣術師範役・柳生新陰流の剣豪柳生宗矩(享年76)をはじめ、剣豪はおしなべて長寿だ。そして何といっても剣術者にメタボはいなかった! その秘密は独自の呼吸法にあったのだ──。
江戸時代の禅僧沢庵のエピソード集「沢庵珍話集」によれば、柳生宗矩は、ただでさえタバコによる失火の多さから喫煙禁止令が出されていた当時、沢庵にタバコが呼吸器系、循環器系の器官の害になると指摘されても、いっさいこれを無視した。それほどの、今で言う「チェーンスモーカー」だったという。
それでも76歳まで生き、均整のとれた体型を維持できたのも、他の剣豪同様、剣術者特有の呼吸法にあった。その呼吸法というのが“丹田呼吸法”だ。
「丹田とは丹を育てる田んぼ。つまり丹薬(不老不死の薬)を作り出す場所のこと。へそ下寸に位置すると考えられている。丹田呼吸法とは、丹田で呼吸すること。下腹を張り、丹田に意識を集中させ、吸う息を短く、吐く息を長く行う呼吸法。腹式呼吸が発展したものと考えればいい。呼吸を鼻で行うのがポイント」(東洋医学研究家・佐々木一正氏)
呼吸は自律神経でコントロールされているが、自分でもコントロールできる。血行がよくなり、新陳代謝が高まるうえ、ダイエット効果は絶大だそうだ。