編成権を含めた「全権」を与えられ、後継者を指名するキングメーカーの力まで持つとされる。それが巨人の原辰徳監督だ。だが、そんな強権監督が秘かに狙っていた大物投手が、目の前で敵にかすめ取られてしまった。しかもその裏には、身内たる親会社の思惑があったというから、原監督のやり場のない怒りは察するに余りあるのだ。(3月14日配信)
巨人の原辰徳監督がご機嫌ナナメだ。DeNAが推定年棒4億円で、大リーグ前ドジャースのトレバー・バウアー投手を獲得したことが原因だという。スポーツ紙遊軍記者はその状況を、次のように説明する。
「実は原監督は、サイ・ヤング賞を獲得した実績のあるバウアーに興味を示していました。バウアーはDV規定違反で21年の中盤から出場停止処分を受けたことで、ドジャースを自由契約になった。だが、本来なら年俸40億円の価値がある投手。それが今季なら、格安で来ると踏んでいましたからね。ところが、どうもそのDV規定違反を問題にした親会社から、ストップがかかったようです。本人は全権監督のつもりですからね。メンツを潰されて、面白くないでしょう」
原監督がバウアー獲得を考えていた最大の要因は、時には中3日での登板もいとわないタフネスぶりだ。今季、巨人は外国人投手4人を獲得したが、キャンプやオープン戦での数字はアテにならない。
現状で勝ち星が期待できる先発投手は、菅野智之と戸郷翔征の2投手しかいない。だが、近年の菅野は故障が多く、フルシーズンを通じて働ける保証はない。1年を投じて回転できる投手は、ノドから手が出るほど欲しいのだ。
また、昨年の暮れから「バウアー日本球界OK」という情報が流れ始めたことで、他球団にさらわれる危険を回避する思惑も外れた。スポーツ紙デスクは、
「バウアーが他のセ・リーグの球団に入り、活躍されるとなれば、それは巨人にとって最悪の結果です」
昨季、リーグ4位に終わり、今季の成績によっては進退問題に発展しかねない原監督にとって、ヤクルト、DeNA、阪神という上位陣の戦力アップは避けたかったのが本音だ。
「投手陣補強のため、積極的にトレードを仕掛けたいが、いかんせん交換要員にするタマがいない。昨年、女性問題を起こした坂本では、ローテ投手は取れませんしね」(前出・遊軍記者)
巨人ブランドも地に落ち、原監督の機嫌が今後、さらに悪くなっていきそうだ。
(阿部勝彦)