開幕から3試合を投げて防御率0.00。ロッテの怪物、佐々木朗希の投球は異次元の凄さだ。いまだ語り継がれるのは、昨年4月10日の完全試合だろう。その際の1試合19奪三振は、95年4月21日のロッテ戦で成し遂げたオリックス・野田浩司氏に並ぶ日本タイ記録だった。球場は共に、千葉マリンスタジアムである。
「センターの方から海風が結構くるんですよ。それがバックネットで跳ね返る。(投球が)風とケンカするから(フォークは)落ちやすい。変化球は曲がりやすい。真っ直ぐも結構、動くんですよね」
切れ味鋭いフォークを武器とする投手にとって、マリンスタジアムは有利だと語るのは、YouTubeチャンネル〈プロ野球OBクラブチャンネル〉に出演した、野田氏自身である。
とはいえ、逆にストライクを取りにくいこと、野手はフライの捕球が難しくなるデメリットもある。事実、野田氏が19奪三振した試合でも、野手がフライを3つ捕り損ね、中にはそのエラーで進塁を許す場面もあったのだが、
「それが全部、三振に変わったんですよ。イチローも落としましたから、ファウルフライ。そういうのもあっての、ボクの(三振)19なんですよね。でも、去年の佐々木朗希の19は異次元」
そう言って、野田氏は佐々木の完全試合&19奪三振に脱帽したのである。
野田氏のフォークを「お化け」と称したのは、当時ヤクルト監督だった野村克也氏だ。今でこそ「お化けフォーク」はソフトバンクからニューヨーク・メッツに移籍した千賀滉大の代名詞だが、野田氏が93年に阪神からオリックスに移籍した際、ノムさんが「フォークのお化けが(パ・リーグへと)消えた」と言って、胸を撫で下ろしたのは有名な話である。
(所ひで/ユーチューブライター)