過去2年で65回もタイに出入国を繰り返していたA氏の自宅とオフィスは香港にある。香港を拠点に東南アジアで投資関連のビジネスを展開していたというA氏が、闇勢力とつながりを持ち、人身売買などに手を染めていた可能性はあるのか。山岡氏は言う。
「A氏の父親のB氏は、東京の大学を中退後に池袋で風俗店を経営し、X社起業後の90年代にはファミリー企業を通じて町田のラブホテルの他、ペーパーカンパニーを使い大塚の風俗ビルも買収。一方で、福岡・中洲の料亭跡地を購入し風俗ビルを建設したこともある。そうした環境下で事業を広げる中で、フロント企業との取り引きもささやかれるなどヤクザ社会との関係も指摘されています」
父の背中を見て育った息子が、あるいは父が息子を利用して東南アジアの闇ビジネスに足を踏み入れたのか。タイ警察もA氏と人身売買シンジケートとの関係も視野に入れ、捜査を進めているというが、社会部デスクが疑問を呈する。
「これまでの報道を見るかぎり、A氏は『自分の子供を残す』ことに執着しているように見える。人身売買のビジネスを行うのなら、自分自身の精子ではなく他人の精子を使ったほうが子供の数も増やすことができ、効率的でしょう。タイやカンボジアの空港でも代理出産でもうけた子供をA氏が溺愛している姿が目撃されている。もしかしたらA氏は特殊な小児性愛者だったのでは‥‥とすら感じてしまいます」
一刻も早いA氏本人からの詳しい説明が待たれるが、一方で、父親のB氏が不祥事の“火消し”に走っているという情報もある。
「X社は株式時価総額を重視している企業。ですが、代理母騒動が勃発して以来、株価は下落続きで、これはX社にとって大きな痛手です。そこでB氏は、政財界や芸能界と太いパイプを持つ弁護士にA氏の代理人を依頼し、マスコミ各社に向け報道を控えるよう働きかけている。一方、X社は民放キー局で自社関連のCMを流している関係で、キー局に広告代理店を通じ報道規制の通達もあり、制作サイドにも圧力がかかり始めている」(民放スタッフ)
「バンコック・ポスト」など現地メディアの報道によると、真相究明に向けA氏に出頭要請を求めていたタイ警察は8月15日夜になって、A氏がバンコクで事情聴取に応じると発表した。
「とはいえ、タイの警察社会には賄賂汚染が蔓延しています。B氏が当局に多額の賄賂を渡すなどして捜査打ち切りの裏工作を図っている、という情報もあります」(外信部記者)
子供の命も、不祥事のもみ消しも、金で買えないものはない、ということなのか‥‥。