阪神史上、いや日本球界史上最高の外国人選手と呼ばれたランディ・バースと同じトレーニングで期待されながら、散々な結果に終わった虎の助っ人がいる。トニー・タラスコだ。
タラスコは2000年、ヤンキースから強肩、好守、俊足の外野手として阪神に入団した。この際、話題になったのが、オフの間、バースと同じトレーニングをこなしていたことだ。オクラホマ出身のバースは斧で木を伐採するトレーニングをこなし、体感や腕力、下半身を鍛えたとされる。タラスコも同じメニューをこなしていたという。このトレーニングだけで、当時の虎党は「バースの再来や」と大盛り上がりだった。
右翼を守るタラスコは、中堅の新庄剛志(現・日本ハム監督)と仲が良かった。その「新庄愛」は本物で、同じ赤いリストバンドをつけてプレーしていたほどだ。新庄がメジャー挑戦のため渡米した際には、アメリカで再会を果たしている。
タラスコは異常なほどに陽気な性格で、練習中にはブレイクダンスまがいの踊りで他の選手を笑わせることで有名だった。ファンからもそんな陽気な言動が愛された。
19本塁打、57打点の成績を残したが、俊足にもかかわらずわずか1盗塁という走塁ベタが響き、わずか1年で退団を余儀なくされている。
その後、メジャーに復帰したが、「ある疑惑」が浮上した。法律違反の薬物を所持したという報道があったのだ。事実、それで何度か逮捕されたこともあるという。
その報道に、一部の阪神ファンからは「あの陽気な性格は、ラリッていたからでは」との声が出たものだ。
(阿部勝彦)