NHK連続テレビ小説「らんまん」が、今ひとつ弾けずくすぶっている。「らんまん」は江戸時代末期に生まれ、明治、大正、昭和に生きた「日本の植物学の父」牧野富太郎をモデルとした物語で、男性主人公は3年ぶりという意欲作。主役は演技力に定評のある神木隆之介だ。
「植物をテーマに扱うという点も意欲的で、コロナ禍で外出できない期間に、ガーデニングにハマッた人は多く、期待感は大きかった。ただ、どうしても地味だ、という声があり、今のところ視聴率はパッとしません。ビデオリサーチの調査によると、初回世帯平均視聴率(関東地区)は16.1%。前作『舞いあがれ!』や前々作『ちむどんどん』より低い」(テレビ関係者)
ただ、「ゲゲゲの女房」のように、初回14.8%から最高23.6%へとジャンプアップした作品もある。「らんまん」は江戸という階級差別や男女差別がひどかった古い時代から、自由や平等が叫ばれる新しい時代を背景にしている点など、現代人に魅力的に映る点がある。ツイッターには「面白い」という声も多く、まだまだわからないのだ。
ではなぜ、今ひとつなのか。朝ドラ好きの芸能レポーターが言う。
「感情面の描き方が不足しているのではないでしょうか。幼くして母を亡くした悲しみや、姉の綾の失恋、いじめ、差別など、感情を揺さぶるはずの場面はいくらでもあるのに、そうした強い感情があまりにサラッと描かれていて、淡々としすぎ。ドラマはいかに視聴者の心を揺さぶるか、だと思うのですが…。これでは、役者の演技が生かされていません。どこに共感してドラマを見たらいいかわからないんですよ」
ドラマのモデルも、演じる役者も揃っているのだから、もう少し「ドラマ」を描いてほしい。