5月19日から広島で開催されるG7サミット(先進7カ国首脳会議)の警備体制は、全国の警察から動員される応援部隊も加えて、過去最大規模になると言われている。
警察庁は地元・広島県警を含めた警備の陣容を明らかにしていないが、今回の総動員数は洞爺湖サミット(2008年)の2万1000人、伊勢志摩サミット(2016年)の2万3000人をはるかに超え、史上最大となる3万人規模に達するとの指摘もある。
事実、メイン会場となる宇品島のグランドプリンスホテル広島の周辺も含め、広島市内は開催前から「石を投げれば警察官に当たる」と言われるほどの厳戒ぶりなのだ。
そんな中、パトロールが手薄になった全国各地で犯罪が多発するのではないか、との懸念も浮上している。犯罪の発生傾向に詳しい警察庁OBが指摘する。
「まず懸念されるのが、強盗犯罪の多発です。例えば今、世間を騒がせている闇バイトを使った犯罪グループなどは今が狙い目と考えて、広島以外の都市部にある貴金属店などを集中的に襲撃させる可能性がある。空き巣、窃盗、引ったくり、スリなどの常習犯の中からも、今が稼ぎ時とみて、犯行を活発化させる者が出てくるでしょう」
同様に、テロなどの発生にも最大の警戒が必要になる。警察庁OBが続ける。
「厳戒態勢下の広島を避けて、要人テロが画策される可能性があります。岸田総理襲撃犯のようなローンオフェンダー(単独の攻撃者)も含め、広島以外でテロを起こしても、世間に対して一定のアピールは可能だからです。不特定多数の殺傷を狙って仕掛けられる爆発物や危険物などにも、厳重な警戒が必要になります」
さらに言えば、サミット期間中は飲酒運転やスピード違反などの取り締まりも手薄になるため、巻き込まれ事故にも注意することになる。
犯罪の被害者にならないために、自己防衛も欠かせないということだ。