5月17日の東京株式市場で、1年8カ月ぶりに日経平均株価が3万円を上回った。好調な企業業績や円安などを受けて自動車やハイテクなど輸出関連株に買いが入り、パルプ・紙や空運、保険などが値を上げた。
株価が好調なのは、外国人投資家による買いの勢いが強まっているためだ。4月に開催された金融政策決定会合で、日本銀行が金融緩和策の維持を決めたことも、市場に安心感を与えている。
日経平均株価は今後、どうなっていくのか。経済誌記者が解説する。
「一般の日本人投資家の買いも増すことで、しばらくは上昇傾向が続くとみていいでしょう。株価は気分の影響が大きい、ともいわれます。コロナが明けて外国人観光客が目立つようになり、ゴールデンウィークは各地の観光地に出かける日本人で大賑わいだった。日本全体の気分が明るくなっています。ホンダやセガ、イオンなど大手企業が賃上げを発表していることも、気分を高揚させる要因ですね。長年くすぶってきた日本の株価が、ようやく大きく動き出すのではないでしょうか」
景気が上昇するのは結構なことだ。一時は米国株に直接投資していた一般投資家が、日本株に戻ってくることで株価上昇を後押しするのでは、ともいわれるが、
「ネット証券などでは米国株に直接投資しやすくなっているため、一般の日本人も手軽に米国株に投資できるようになっています。1株から買える点も魅力です。ところが昨年、為替が大きく円安へと振れて以降、米国株投資に躊躇するようになった日本人は少なくありません。日本株が好調になってきたなら、為替の影響を受けない日本株を買おう、と考えるのは自然な流れです」(前出・経済誌記者)
日本株が上がっているのは、アメリカの著名な投資家ウォーレン・バフェット氏が4月に来日した際、商社株などの日本株を買い増した、と明かした影響も大きいとみられる。しかし、バフェット氏に影響されて大金を投じるのは危険ではないのか。証券業界関係者の見方はこうだ。
「一般の投資家も、一時はウハウハ気分を味わえるでしょうが、株価が大きく上がったところで、ドンと売りを浴びせられるとみていい。調子に乗ってFXに手を出したり、深追いをしたりすると、一時の儲けなど吹っ飛びますよ」
ではいったい、どうすればいいのかといえば、
「簡単には儲からないのが株の世界です」(前出・経済誌記者)
なけなしの金をつぎ込むのは危険だ。