説明会の後半には質疑応答と個別の相談会が設けられたが、ここでも北電のずさんな対応が目立ったという。札幌市内の説明会に出席した同市在住の会社員(50代)も、こう憤る。
「参加者から『今後、どうなれば電気料金は値下がりするのか?』という質問があがったんですが、それに対して北電の担当者は『泊発電所が再稼働すれば直ちに引き下げを検討する』と回答しました。これは裏を返せば道民が再稼働に反対し続けるとさらに電気料金は値上がりすると言っているようなものでしょう。電気料金の値上げを取るか、原発の再稼働を取るか二者択一を迫っているような感じでした。結局、今回の説明会は、再稼働に向けて不満を持つ道民に『反対してもしかたないか』とガス抜きをさせる茶番と言っても過言ではありません」
この説明会の後半の質疑応答では、出席者から、北電従業員の平均年間給与約686万円(42.2歳)や、3億6900万円にも上る取締役等の役員報酬について指摘があり、
「給料を下げたり、もっと必要最小限まで従業員や役員を減らせば、再値上げは必要ないのではないか?」
という疑問の声も上がった。しかし、
「担当者は、『値上げ率を少しでも圧縮できるように引き続きコスト削減に努めていく』と述べるのみで、リストラについてはひたすら明言を避けていました。自分たちの営業赤字については再値上げして利用者に補填させる一方で、自分たちの賃金だけは死守しようとすることは、とうてい納得できませんよ。現場の担当者は『お客さまにたいへんご負担とご迷惑をおかけして心苦しく、申し訳ない』と口では言ってましたが、どこかそらぞらしかった。そう考えると、その場にいない北電の経営陣なんかは本当に悪いと思っているのか、はなはだ疑問ですよ」(50代会社員)
そして同日、北電苫小牧支店で開かれた説明会では、値上げ幅が大きいオール電化住宅の利用者から不満が噴出。
「100万円を超える設備投資をして、オール電化にしたのに詐欺にあった気分ですよ!」(安平町に住む60代無職女性)
別のジャーナリストがこう補足する。
「今回の再値上げの詳細を見ると、昼間より夜間の電力使用の値上げ率のほうが高くなっています。オール電化の家庭では、夜間に電気を使用することを前提とした電気温水器や電気蓄熱式暖房機が設置されているため、負担の割合はさらに高くなるんです」
道民の「フザケるなッ、北電!」という怒りの声ももっともだというのだ。