競馬の祭典「第90回日本ダービー」が5月28日、東京競馬場で行われる。無敗で皐月賞を制したソールオリエンスの2冠達成なるかが最大の焦点だが、今年は「ダービーでは不利」と言われる乗り替わりの多さも馬券戦術上、無視するわけにはいかない。競馬ライターが話す。
「21年に福永祐一が騎乗したシャフリヤールが勝利を収め、85年のシリウスシンボリ以来、36年ぶりに乗り替わりでのダービー馬が誕生しました。しかし同馬はデビューから2戦は福永が手綱を取っており、3戦目となったダービー前走、毎日杯(1着)で川田将雅が騎乗した。福永は乗り替わりといっても、テン乗り(その馬に初めて騎乗する)ではなく、いわゆる手戻り。テン乗りでのダービー制覇は過去に3頭しかおらず、1954年のゴールデンウエーブから70年近く、誕生していません」
今年はフルゲート18頭に対して19頭が登録しているが、うち乗り替わりが予定されているのが9頭(藤田菜七子が騎乗予定のトーセントラムは除外対象)で、テン乗りは実に8頭にも及ぶ。人気どころではファントムシーフ(ルメール⇒武豊)、タスティエーラ(松山弘平⇒レーン)、ドゥラエレーデ(C・デムーロ⇒坂井瑠星)あたりだが、騎手が乗り替わったからといっても2、3着に好走するケースがなくはない。
「過去10年でみると、14年マイネルフロスト(12番人気・3着)、15年サトノラーゼン(5番人気・2着)、18年コズミックフォース(16番人気・3着)が好走しています。ただ、馬券になったのは計30頭のうちシャフリヤールを含めて4頭のみ。13年ロゴタイプ(3番人気・5着)、19年サートゥルナーリア(1番人気・4着)、21年グレートマジシャン(3番人気・4着)など、上位人気馬でも馬券圏外に敗れていますからね。今年は継続騎乗が予定されている10頭で馬券を組み立てるのが得策かも」(前出・競馬ライター)
ダービー7勝目を目指す武豊にとっては頭の痛いデータだが、これまで数多くの記録を塗り替えてきたレジェンドだけに、69年ぶりの「テン乗りダービー制覇」を期待したくなるのは、競馬ファンとて同じだろう。