中国外務省報道官というと「戦狼外交の先兵」として、中国に対する批判に反論するのが日課となっている。特に日本に対しては「歴史上の犯罪行為を深く反省すべき」などと、強硬発言を繰り返している。美人で知られる毛寧報道官もその一人だが、垂秀夫中国大使に対しては「逆ギレすべきでない」と、普段の自分たちの発言は棚上げにして諭したのである。
発端となったのは、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の首脳宣言だった。中国外務省の孫衛東外務次官が、サミット閉幕日である5月21日の日曜日にわざわざ垂秀夫大使を呼び出して「中国を中傷するものだ」と抗議したことに始まる。これに対し、外務省きっての中国通である垂氏は、猛然と反論した。
「中国が行動を改めない限り、これまで同様にG7として共通の懸念事項に言及するのは当然。まずは中国側が前向きな対応を行うべき」
「日中関係が厳しい時こそ、民間交流を推進することが重要であるが、中国側は日中関係の雰囲気が悪くなれば、すぐに民間交流の実施を妨げている」
この毅然とした態度は、日本国民に広く受け入れられた。中国側に明確に反論したのは立派だとの反応が相次ぎ、ヤフーでは「垂秀夫」が一時トレンドワードのトップになるなど、高い関心を集めたのである。
それもそのはずで、垂氏は中国側からニラまれ、中国公使の時は拘束されそうになり、荷物を残したまま帰国したこともある。
一筋縄ではいかない垂大使が相手なので、毛寧報道官もいつもの強硬姿勢だけでなく、
「中国は交流を支持している。日本側は着実に反省し、過ちを正し、中国側と歩み寄るべきで、逆ギレすべきではない。重要なのは双方が誠意や信用をもって付き合い、両国関係の改善と発展に役立つ雰囲気を作ることだ」
そう語ったのである。