大相撲夏場所(東京・両国国技館)は5月28日に千秋楽を終え、横綱の照ノ富士が優勝を飾った。大関・貴景勝は8勝7敗でヒヤヒヤながら、かど番を脱出。ところが立ち合いから駆け引きに徹する手段を選ばない取組を連発し、波紋を広げている。
特に問題となったのは13日目。東前頭6枚目の明生を相手に、立ち合いで左へ変化する、大関らしからぬ注文相撲で送り出した。正々堂々の押し相撲を封印して観客からのブーイングを浴び、痛々しい姿をさらけ出した。角界関係者は、
「3月の春場所で損傷した左膝の半月板が、まだ完治していません。大関を陥落したくない一心で、テーピングでぐるぐる巻きに。無理をして土俵に上がっていました。その代償は大きく、患部は悪化したといいます。まさに相撲人生の分岐点を迎えていますね。無理がたたれば力士寿命を大幅に縮めてしまい、引退に追い込まれます」
損傷した左膝をかばうあまり右膝も痛め、下半身が不安定で、前に出て攻める追い込みやいなしができない。相撲を取る稽古はほとんどできていなかったという。
「体が言うことをきかず、貴景勝は相当、ナーバスになっていたようです。そんな大関を支えているのが、師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)ですよ。一時はプライベートをめぐるわだかまりから不仲が案じられていましたが、今やよき相談相手となっています」(前出・角界関係者)
ケガは長引きそうで、来場所も苦しむことが予想される。師匠とのタッグで乗り切ることはできるか。