日本経済新聞社とテレビ東京が5月26から28日に実施した世論調査によると、岸田文雄内閣の支持率は47%で、4月の前回調査から5ポイント下回った。5月21日に閉幕した先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で議長を務めた岸田首相の働きぶりを「評価する」とした回答は66%(「評価しない」は21%)に達したにもかかわらず、である。
日経は支持率を下げた要因を「息子の不祥事」にあるとしている。岸田首相の長男で首相秘書官の翔太郎氏が、首相公邸内で忘年会を開いて大騒ぎしたことがバレた一件だ。赤じゅうたんが敷かれた階段で、組閣時の記念撮影を真似た写真を撮り、親族とみられる人物が寝そべる様子も明らかになった。
支持率の下落は2022年12月以来、5カ月ぶり。内閣を「支持しない」と答えた割合は4ポイント上昇の44%だった。
与野党から批判が相次いだにもかかわらず、岸田首相の対応はグダグダだ。5月26日の参院予算委員会で「報道は年末、親族の来訪時のもので、私も私的な居住スペースに一時顔を出し、挨拶した。一方、公的スペースで報道のような行為があったことを認識したため、本人に厳しく注意した」と釈明した。
5月25日には記者団から「更迭しないのか」と問われると、首相は「緊張感をもって対応してもらいたい」と、続投させる大甘な意向を示していた。
同性婚をめぐって差別発言を繰り出した荒井勝喜秘書官はあっさり更迭したが、自分の息子のバカ行状は全力でかばう。外遊時に公用車で私的な観光をしたと報じられたのに続き、二度目のスキャンダルにもかかわらず、である。
立憲民主党の泉健太代表は会見で「息子に甘すぎだ。公正、厳正に対処するのが普通だ」と批判した。与党内からも「適切とは言えない。大変遺憾」(公明党の石井啓一幹事長)との声が出る始末。
息子の不祥事が今後の政局に影響を与える結果になっても、岸田首相はあくまで「注意」で済ませて一件落着。ニュースサイト「SAKISIRU」の新田哲史編集長は「もはや廃嫡だな。岸田さん、翔太郎氏を今回更迭しなかったのはサミット効果を半減。仏の顔も三度だが、それより甘いのでは…。せっかく積み上げたパズルが一瞬にして半壊」とツイートした。
状況を理解しようとしない、親バカならぬバカ親首相の感覚に頷く国民は、どのくらいいると思っているのか。