止まらない物価高騰の波に円安。さらに低賃金と、日本で暮らすことに将来を見い出せない日本人の間で、海外移住を選択するケースが増えている。だが、現実と理想はなかなか上手くいかないもの。実際に海外移住をしてみたものの、現地での日本人同士の人間関係に苦悩する声が出ているのだ。
昨年10月1日現在で、7万8000人超の日本人が暮らすタイ。中でも首都バンコク(写真)で暮らす邦人数は5万9000人以上と、世界の都市別在留邦人数では、ロサンゼルスに次ぐ2位となっている。そんなバンコクで、現地採用として働く女性に話を聞くと…。
「バンコクの日本人コミュニティーって、すごく狭い世界なんです。強いて言うのであれば、日本の村社会のよう。日本の企業から赴任してくる駐在員と、私のような現地採用で分かれるのですが、現地採用組の人間関係は、特に面倒くさい。誰がどこで働いているとか色恋沙汰とかを皆が知っていて、噂が回るのが早い。おちおち彼氏を作ることもできません」
この女性によれば、現地駐在員は同じ企業の人同士で共に行動する。そのため、現地採用者との交流はほとんどなく、恋人を作るとなると、必然的に現地採用者同士になるという。
「現地採用者の、足の引っ張り合いもすごいんです。バンコク在住日本人の掲示板があるのですが、少しでも目立つ日本人がいれば、悪い噂を書き込まれる。最近では、SNSでの誹謗中傷もよく見ますね。皆、表面上は仲良く振る舞っていても、実際は陰口ばかり。微笑みの国タイとは程遠いイメージですね」
日本の人間関係の煩わしさから抜け出してタイに来てみたはいいが、想像とかけ離れていたバンコクの人間関係。海外移住は、メリットに目を向けてばかりでは難しい。実際に住んでみないとわからないこともあるのだ。