日本相撲協会は5月31日、大相撲名古屋場所の番付編成会議と臨時理事会を開催し、先の夏場所で11勝した関脇・霧馬山の大関昇進を満場一致で決めた。
伝達式で霧馬山は「大関の名を汚さぬよう、今まで以上に稽古して頑張ります」と、シンプルに口上を述べたが、会見中盤では師匠の陸奥親方(元大関・霧島)からプレゼントが。親方自身の現役時代の四股名を継がせると発表されたのだ。
「霧馬山は春場所で初優勝し、大関獲りの気運が高まりましたが、その頃から霧島の名を復活させてほしいとの要望が寄せられるようになったといいます。昇進が確実となった夏場所の十四日目、親方が本人に打診したそうですが、親方は『いらないと言われたらどうしよう』と心配だった(笑)」(相撲ライター)
事実、「いらない」と言われたと親方が思いかねないアクシデントがあった。相撲ライターが続ける。
「親方が『名前、どうだ?』と霧馬山に聞いたところ、『それはいいです』との答えが返ってきたそうなんです。『良案です』の意味なのか『結構です』という断りの意味なのか微妙な発言ですが、その時の霧馬山の動きが、親方には『いらない』という仕草に見えたそうです。実際には『いいですね』の意味で、霧馬山も喜んでいることがわかったんですけどね」
霧馬山は「霧島」継承に「夢のよう」と、本当に喜んだ。
「それにしても『断られたらどうしよう』とは、陸奥親方の人柄が伝わってきますよね。相撲部屋には、親方からの言葉は絶対、というイメージがあるかもしれませんが、実際には弟子に優しく気を遣う師匠は少なくないのです」(前出・相撲ライター)
次場所からは横綱昇進への挑戦が始まる、霧馬山改め霧島。残り3人の関脇も豊昇龍11勝、大栄翔と若元春10勝と、夏場所では好成績。名古屋場所での大関獲りが始まる。
大相撲の新時代は、そこまで来ているのである。
(石見剣)