胃がもたれるのに、検査をしても異常は見つからない──。もしかしたら「機能性ディスペプシア」かもしれない。聞き慣れない病名だが、日本人の10人に1人が悩まされているという。
「機能性ディスペプシア」は、内視鏡検査などを行っても明らかな異常がないにもかかわらず、胃の痛みや胃もたれなどの症状が続いている病気。「ディスペプシア」とは、ギリシャ語に由来し「消化不良」という意味だ。
主な症状は以下の4つ。
【1】みぞおちあたりが痛い
【2】焼けつくような灼熱感を胃に感じる
【3】少し食べただけでお腹が張る
【4】すぐにお腹いっぱいになる「早満腹感」
もし、これらの症状が慢性的に見られるようであれば、消化器内科や総合内科を受診する必要がある。治療法は、消化管の運動機能を改善する薬や胃酸の分泌を促進する薬などを処方される場合が多い。
この病気の原因は、自律神経の乱れによる胃の粘膜が「知覚過敏」の状態になるケースが多い。心理的なストレスなどにより、胃の機能をコントロールしている自律神経が乱れることで発症してしまうのだ。他にも、アルコールや喫煙、不眠といった生活習慣の乱れも関わっていると考えられている。
予防対策は、消化不良を起こしやすい、暴飲暴食や早食いを避けることが重要だ。食事はゆっくり、よく噛んで、腹八分目を心がけたい。食べてからすぐの運動も消化に悪いため、休憩を30分は取ることも必要だ。
胃の不調から、QOL(生活の質)の低下を招く恐れのある機能性ディスペプシア。最近では、この病気の専門医もいるため、早めに医師に相談しよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。