6月6日にウクライナ南部で起きたダム決壊による洪水を巡り、ゼレンスキー大統領と緊急電話会談をした岸田文雄総理。そこでは来年早々、ウクライナ復興会議を日本で開催できる用意がある旨を伝えたという。
ロシアとの戦争が終結もしないうちにもう復興の話かと違和感を抱く人もいるだろう。しかし終結まで待っていては、仮に勝ったとしても約3700万人のウクライナ国民が路頭に迷う危機にさらされる。そのため今から準備が必要ということだ。将来のウクライナ復興に向けての会議は、これまでもスイスなどで開かれ多くの国々が参加してきた。
ただ、それを今度は日本で行うことに岸田総理が前のめりなのには、狙いがあるという。霞が関関係者が言う。
「今年G7議長国を務めた日本だけに、復興でもリーダーシップを取りウクライナに寄り添いたい思いだ。だが、もう一方で総理の本音としては、『ゼレンスキー効果よ、もう一度』もある」
岸田政権は以前、安倍元総理の国葬や旧統一教会問題、閣僚の相次ぐ辞任で支持率が急落し、崖っぷちに追い込まれた。それが再び息を吹き返したのは、岸田総理のウクライナ訪問とゼレンスキー氏の電撃来日の影響が大きい。
「来年総裁選を迎える総理にすれば、ウクライナ復興会議でもう一度ゼレンスキー効果の2匹目のどじょうを狙って当然の話」(前出・霞が関関係者)
しかし、こうした動きに自民党内からは懸念も出ている。党関係者の話。
「ウクライナの復興には100兆円規模という莫大なカネがかかる。それをどうするかが大きな問題。欧米はこれまで武器支援で相当なカネを使い復興資金には腰が引けた状態。それだけに、武器支援できない日本への期待値は高くなる。しかし、国内を見れば防衛費の大幅増額分や少子化対策の財源をどうひねりだすかでアップアップ。ウクライナや欧米に応えるだけの策と力があるか疑問だ」
掛け声だけの復興会議となれば、ゼレンスキー氏らの岸田総理、日本への期待感も一気に萎み、その先の総裁選にも影響しかねない。「ゼレンスキー効果」狙いが見事に裏目に出る可能性はある。
(田村建光)