スポーツ

W杯不完全燃焼の久保建英が見せたエルサルバドル戦の「覚醒」は本物か

 日本代表がエルサルバドルに6-0で圧勝した。

 しかし、試合は予想外の展開で始まった。開始3分に、相手DFがペナルティ・エリア内で上田綺世を倒し一発退場。残り時間を11人対10人で戦うことになった。

 レベル的にも格下で、しかも10人になったエルサルバドルでは強化にもならなかった。だから、代表初出場の選手、久しぶりに代表復帰を果たした選手、代表初ゴールを決めた選手など、全員のプレーが良く見えた。これでは、とても強化試合とはいえない。

 ただ、そんな中でもひときわ輝いていた選手がいた。それが久保建英。この試合で1ゴール2アシストの活躍。しかも中村敬斗のゴールをアシストしたパスは相手の股抜き。エース候補の三笘薫、代表の新10番堂安律を完全にわき役に追いやっていた。

 子供のころから注目され、19歳で代表デビューした。将来の日本のエースとして期待されてきたが、代表ではなかなか結果を出せなかった。現に今回のゴールが代表24試合目にして2点目だ。昨年のカタールW杯でも2試合に先発したが、前半で交代と不完全燃焼に終わった。

 今までの久保は代表でも、消えている時間が多かった。それがW杯後、所属するレアル・ソシエダでチームの中心ともいえる活躍を見せ、クラブを欧州チャンピオンズリーグ出場に導き、リーグのベスト11にも選ばれた。W杯後、一番成長した日本人選手といっても過言ではない。

 その成長をエルサルバドル戦で見せつけた。常にボールサイドに顔出し、周りを活かしながら自らもシュートを打つ。相手が10人になったとはいえ、攻撃の中心になっていたのは確かだ。

 6月4日に22歳になったばかり、まだまだ成長する可能性を秘めている。

 次の代表招集は9月の欧州遠征。相手はドイツ代表と決まった。ドイツにとってはW杯でのリベンジマッチになるが、久保にとっても前半で交代させられた悔しさがある。

 本当の意味で日本代表の中心になれるかどうか。ドイツ戦での久保のプレーに注目したい。

(渡辺達也)

1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。

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