中央競馬の上半期を締めくくるGI宝塚記念が今週のメインとして行われる。有馬記念と同じく、ファン投票の上位馬に優先出走権が与えられるオールスターのグランプリ競走だ。
今年もなかなかの顔ぶれがそろった。昨年の年度代表馬に選ばれ、今年初戦の前走ドバイシーマCをレコードで圧勝。ファン投票でも圧倒的な支持を得たイクイノックスを筆頭に、天皇賞・春を勝って勢いに乗るジャスティンパレスなどの4歳勢が人気の中心。
しかし、天皇賞・春2着のディープボンド、昨秋のエリザベス女王杯を制し、有馬記念でも3着に好走したジェラルディーナ、着実に地力強化されてきたブレークアップ、昨秋のジャパンCの勝ち馬ヴェラアズール、堅実なボッケリーニなど、古馬勢もそうそうたる面々である。
フルゲート(18頭)が見込まれており、見応え十分。目の離せないビッグレースで、馬券的にもおもしろく、財布のヒモをつい緩めたくなるGI戦だ。
まずは過去のデータを見てみよう。03年に馬単が導入されて以降、これまでの20年間、その馬単による万馬券は7回(馬連では3回)。この間、1番人気馬が5勝(2着5回)、2番人気馬は4勝(2着2回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は1回のみと、人気どおり順当には収まりがたいレースである。
年齢的には他の重賞と同様、4歳馬が9勝(2着4回)、5歳馬が8勝(2着9回)と、他の年代を圧している。そして出走頭数は少ないながら、牝馬の善戦が目立っている。過去10年を見てもマリアライト(16年)、リスグラシュー(19年)、クロノジェネシス(20年、21年)と4勝を挙げており、GI級の牝馬が出走してくれば要注意。そういう意味では、今季はひと息も、GI馬ジェラルディーナの軽視は禁物だ。
本来なら馬券の筋としてイクイノックスなどのGI馬から入るべきだろうが、穴党としては、やはり斜に構えてみたい。
期待を寄せるのは、ライラックだ。
要注意であると前述した牝馬だが、GIでの勝ち鞍はない。しかも有力どころに比べると実績は大きく見劣るため、無理筋とみられても当然だ。実際、陣営も「雨が降って道悪競馬にならないと‥‥」と、控えめである。
GIIIフェアリーSを勝ち、重馬場だったエリザベス女王杯で2着(同着)したものの、牡馬の一線級を相手にした場数は少ない。不良馬場で行われた前々走の日経賞は4着に頑張ったが、前走の目黒記念は9着と、ここでは力不足と軽視されてもしかたがない。
しかし当方としては、やれる力を秘めているとみている。過去のレースを振り返ると、しまい一辺倒の競馬が多く、展開に左右される面も多々ある。なので陣営も本当の力量をはかりかねているのではないか。
“ムラ馬”だけに、そんなフシもうかがえるのだ。
そのあたりは父オルフェーヴル譲りなのだろうが、ステイゴールド(オルフェーヴルの父)系特有の破壊力と、大一番での勝負強さを兼ね備えていることも、また確か。休み明けを2度使われ、この中間は大幅な良化ぶりをみせてもいる。
一族にダイワメジャー(マイルCS連覇などGI5勝)やダート王のヴァーミリアン(JCダートなどGI9勝)など、活躍馬が多数いる血統(母系)も魅力。梅雨時なので道悪ならなおさらだが、距離、コース適性は十分なだけに、晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。