プロ野球楽天・田中将大が6月26日のソフトバンク戦で4勝目をあげた。チームは攻守に精彩を欠き今季3度目の5連敗中。最下位定着を食い止める、わずか99球で7回1失点の好投だった。田中本人も、
「連敗を止めるのは自分しかいないという思いでマウンドに上がった。バックの守りに助けられて緊張感のある試合ができた。感謝しています」
とホッとした表情でコメントしていた。
これで田中は日米通算194勝(日本116勝、メジャー78勝)。そして、この日の試合会場となった東京ドームでは2013年7月9日(対日本ハム)以来、10年ぶりの白星。
ただ、良いことづくめの勝利に見えるが、さにあらず。今季の田中は年俸4億7500万円プラス出来高払い(金額は推定)で契約している。それも1年契約だ。昨年の年俸は9億円だったが、わずか4勝しかできず4億円以上の大減俸となっている。
そして親会社である楽天は三木谷浩史会長の肝いりである携帯電話事業(楽天モバイル)が大苦戦。今年2月に発表された楽天グループの22年12月決算で過去最大の赤字を計上し、グループ全体で「聖域なきコストカット」が進められている。
そんな楽天は昨オフ、球団にも「6億円以上の年俸カット」を通告したという。その筆頭格が田中で、ほかほとんどの主力選手が減俸通告を受け今季のチームのモチベーションは下がりっぱなし。その結果が今日の低迷につながっていると言っていいだろう。
球団売却のウワサも絶えない中、チーム最高年俸の田中は「200(勝)という数字は大きな目標の一つです」と話す。その数字を超え以後も貴重なベテラン戦力としてチームに存在できるかは、「楽天モバイル」の浮沈が大きなカギを握っている。
(小田龍司)