マダニが媒介するとみられる「オズウイルス」に感染した茨城県の70代女性が先ごろ死亡した。女性は昨年の初夏に発熱、倦怠感などの症状が出て医療機関を受診し、肺炎と診断。その後、症状が悪化して入院していたという。
医療関係者が説明する。
「診察では右大腿部の付け根に血を吸った状態のマダニが見つかったという。そして、入院から26日後にウイルス性心筋炎で亡くなってしまった。このオズウイルスは5年前に日本で発見され、野生動物や人に感染した可能性は報告されていたましたが、人での発症や死亡例は確認されていませんでした」
そもそも、マダニに咬まれると様々な感染症にかかる可能性がある。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)やダニ媒介脳炎、日本紅斑熱、ライム病などだ。
「SFTSウイルスに感染した場合、発熱、嘔吐、下痢、腹痛など多くの症例で認められおり、意識障害や失語などの神経症状を引き起こすこともあります。しかも致死率は10~30%とされ侮れない。ダニ媒介脳炎の致死率は20%以上で、回復しても神経学的後遺症が残ることがあり、精神錯乱や昏睡状態に陥ることもあるそうです」(医療ライター)
また日本紅斑熱では高熱や発疹の症状が、ライム病では筋肉痛や関節痛、頭痛、悪寒、倦怠感などのインフルエンザのような症状を伴うという。
「ダニが相手と軽く見ていると大事になる場合がある。ヒトや動物に取りつくと数日から10日以上血を吸い続け、咬まれても痛みや痒みを感じにくいので気が付かない。さらに特効薬やワクチンはなく対症療法となるため厄介です。まずはマダニの生息していそうな草むらや藪などにむやみに入らないこと。そうした場所に入るときは長袖に長ズボン、首にはタオルを巻くなど、肌をなるべく出さない格好をすることです」(前出・医療ライター)
ちなみにSFTS患者は5月から8月に集中する。キャンプなどは要注意だ。
(蓮見茂)