今季もセ・リーグ優勝を逃した巨人が、FAによる日本人先発投手の補強を見送る方針だという。スポーツ紙ベテラン遊軍記者は、
「これは原監督の強い意向によるものでしょう」
今季、国内FA権を取得した先発投手には石田健大(DeNA)、今永昇太(DeNA)、山崎福也(オリックス)、加藤貴之(日本ハム)らがいる。また、FA権を持つ楽天の田中将大も単年契約のため、獲得は可能だ。
巨人は「欲しい欲しい病」を患うチームと呼ばれ、同じセ・リーグのチームを中心に、FAでの戦力補強を推進してきた。前出の遊軍記者によれば、
「最悪、戦力にならなくてもいいという考え方ですからね。FAで同一リーグのチームの戦力をそげば、それだけでもプラスという伝統があった」
だがここにきて、それを避け始めたのには理由があった。スポーツ紙プロ野球担当デスクは次のように話す。
「来季、3年契約の最終年を迎える原監督の、意地と延命の策でしょうね。仮にFAで先発投手を補強して優勝しても、金で優勝を買ったと揶揄されるのは分かっている。原監督は近い将来に監督を勇退しても、GMなどで影響力を持ちたい意向がある。そのためには現有戦力である山崎伊織、赤星優志に加え、横川凱や井上温大らを自らの手腕で、一人前の先発投手にしたい。いいアピールになりますからね」
阪神を18年ぶりのリーグ優勝に導いた、岡田彰布監督へのライバル心も背景にある。
「大した補強もしなかったのに優勝した岡田監督に対し、その選手掌握術を称えました。とはいえ、忸怩たる思いがある。自身も現有戦力の底上げで、岡田監督を見返せればと。同年代ですが、原監督には現役時代の成績も監督としての成績も自分が上、という自負がありますからね」(前出・スポーツ紙デスク)
ただ、2年連続でBクラスに甘んじれば、進退問題が浮上しかねない。まずは目先の戦いに集中し、3位を確保したいところなのである。
(阿部勝彦)