インド東部で今年6月、14歳の少年がワニに襲われて死亡する事件が発生した。そのワニが家族や地元住民らによって棒で殴り殺される映像がSNS上にアップされると、野生動物保護法違反の疑いがあるとして、地元当局が捜査に乗り出す騒ぎになっている。
インディア・タイムズによると、事件が起こったのは、ガンジス川の中洲にある、ラグホプール・ディヤーラ島という小さな島。家族でプージャという礼拝儀式を行う中、聖水に使うため少年がガンジス川へ水汲みに行ったところ、突然、巨大ワニに襲われ、そのまま川の中に引きずり込まれてしまう。そして1時間後、無残な姿で発見されたというのだ。アジアの野生動物事案に詳しいジャーナリストが言う。
「すぐに家族と地元住民らが、ワニ捕獲用の漁網を川岸に設置したところ、少年を襲ったワニが網に引っかかり、その場で撲殺行為が行われました。その際の衝撃映像がネット上で瞬く間に拡散してしまったため、森林当局としても黙っているわけにはいかなかったのでしょう、詳細な事情が判明次第、当事者には処分が下されることになるようです」
巨大ワニで思い出すのは、東アフリカの湖に生息、地元住民300人以上を襲い、いまだ捕まっていない体長6メートル、体重1トンという、人食いナイルワニ「ギュスターヴ」だ。
ギュスターヴは東アフリカのタンザニア、コンゴ民主共和国、ザンビア、ブルンジに面するタンガニーカ湖に住み、1987年以降、次々に人間を襲ってきたとされるのだが、
「実はこの年を境に地元住民が次々と姿を消したことで、当初は連続殺人鬼ではないか、と声があった。その後、巨大ワニの目撃談が相次いだことから、ギュスターヴの仕業であることが明らかになったそうです。ただ、地元では幾度となくこのワニの射殺が試みられたものの、全て失敗。もし今、生きているとするなら、100歳近いといいます。発見されたという情報がないことから、近隣住民は今も恐怖におののいています」(国際ジャーナリスト)
専門家によれば、通常、ワニの寿命は30年から50年程度とされるものの、中には100歳超えも少なくないという。ギュスターヴが人間を襲い始めた背景には、原住民のツチ族とフツ族の対立激化がある。大量虐殺により多くの死体が出たことで人間の死体を食べ、その味を覚えてしまったことが原因とされているのだ。90年代後半の目撃情報を最後に、忽然と姿を消したというギュスターヴは、はたして現在も生存しているのか。住民たちの不安はいまだ払拭されていない。
(ジョン・ドゥ)