競売大手のサザビーズが米ニューヨークで7月26日に、スコットランドのネス湖に生息するとされる未確認生物「ネッシー」を思わせる首長竜の骨格標本を競売に掛けることが明らかになった。
サザビーズの担当者によれば、化石は約1億9000万年前、ジュラ紀前期に生息していたプレシオサウルスで、全長は約3.4メートル。体の大きさに比べて頭部が小さく、長い首とヒレが特徴で、1990年に英イングランドの採石場で発見されたものだという。オークションウォッチャーが言う。
「これまで見つかったプレシオサウルスの中では、全身の骨が75%程度も揃っているなど、かなり保存状態がいいこともあり、予想落札価格はおそらく60万から80万ドル(約8400万から1億1200万円)。ここ数年、再びネス湖での目撃談もあり、ネッシーが秘かなブームになっていることで、さらに落札額が高くなる可能性はありますね」
一方、6月20日付の学術誌「Current Biology」で発表された論文によれば、プレシオサウルスなど首の長い海生爬虫類はその首の長さゆえに、多くが大型捕食動物に首を攻撃されていたことが、椎骨の化石調査で明らかになったという。
「研究対象となったのはプレシオサウルスのほか、約2億4000万年前、三畳紀の海に生息していたタニストロフェウスなど。いずれも細長い首の先についた小さな頭と、尖った歯を持つ海生爬虫類です。しかし首が長いからこそ、常に捕食者に囲まれて生活しなければならなかった。研究では、首の傷は化石化の過程ではなく、生きている時についたもの。つまり、食いちぎられてできた傷であることが判明したことで、椎骨を噛まれた後に首が切断され、そこだけが残ったとの結論が導き出されたのです」(サイエンスライター)
なんと、ネッシーの先祖はその多くが、大型捕食動物に首を食いちぎられ、殺された可能性が極めて高いというのである。
「今回の研究で示唆されるのは、骨の表面の擦り傷などから、首を噛まれた勢いで、後ろの方向へ首を引っ張るように動いていること。つまり、ネッシーもワニのような肉食爬虫類に噛みつかれた際、横に振ったり回転させたりして食いちぎられた可能性があるということです」
ネス湖にワニが生息しているかどうかは不明だが、なんらかの肉食爬虫類が生存していることは報告されている。ネッシーの消息が気になるばかりだ。
(ジョン・ドゥ)