税金欲しさのマッチポンプはいい加減にしてほしい。沖縄県の地元紙、琉球新報と沖縄タイムズが連日「新型コロナで小児科がパンク」と恐怖を煽っている。
それが事実なら「国の宝」子供の命を守るために、沖縄県の玉城デニー知事は先陣をきってコロナ対応に当たらねばならないはずだ。46都道府県の知事がそうしたように。
ところが7月3日、玉城知事は北京にいた。中国との経済交流を目的とした日本国際貿易促進協会(会長=河野洋平元衆院議長)の訪中団に参加。財界人ら約80人が集まり、7月6日までの滞在中、商務省幹部や共産党幹部との会談が予定されているという。
中国では7月1日に、改正された反スパイ法が施行。今年3月に拘束されたアステラス製薬幹部は、いまだ解放されていない。これでアステラス製薬の幹部を連れて帰れないのなら、何のための訪中なのか。
話を戻そう。沖縄県の新型コロナ感染拡大は「中国との外交を優先する程度」と、玉城知事の行動が証明している。小児科が逼迫というけれど、これも沖縄特有の事情がある。
沖縄はこれまで、医療費無料の対象が未就学児童までと「子供の福祉が全国最低レベル」。昨年からようやく、中学生までの医療費が無料になった。赤ん坊の頃に接種する、破傷風などの定期予防接種の接種率も低い。定期接種、新型コロナワクチン、狂犬病ワクチンのいずれも、予防接種率はぶっちぎりの最下位だ。沖縄県で最低1回でも新型コロナワクチン接種をした人は70.7%。3回接種した人はわずか51.4%と、県民の2人に1人にすぎない。
ワクチンは打たないクセに、検査だけはする。5月に感染症法の分類が5類になった後も、濃厚接触者への健康観察、病院や老人施設でも検査を行い、梅雨明けの炎天下に那覇市内のPCR検査センターには長蛇の列。そこからコロナが感染拡大するんだよ、とツッコミを入れたい。沖縄だけが5月7日から時が止まっているのだ。
重症患者は7月3日現在、わずか5名。入院調整が困難な数ではない。入院受診が困難なら本土にオンライン診療を依頼して、島内の薬剤師に薬を届けてもらうこともできる。事情を知る感染症医は、渋い顔だ。
「沖縄のメディアが医療逼迫だと騒ぎ始めたのは、6月20日前後。この日はちょうど、厚労省と日本医師会が『令和5年度新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)の通達を出した日です。厚労省は今年9月30日まで、全国の医療機関に集中治療室のベッド1床あたり1日15万円、一般病床のベッドでも1床あたり1日3万6000円の補助金を出すことになりました、それら補助金についての詳細が発表されたのです。『家で療養するのは不安』という患者と陽性患者を入院させるだけで『1日3万6000円』がもらえる病院の思惑と一致し、検査ばかりやっているから患者数は増えていく。『沖縄のコロナ拡大』は、補助金が出る9月末まで終わらないでしょう。本土から沖縄の医療崩壊を煽っているのも、補助金が欲しい医師達です」
そんな調子だから、沖縄への医療支援を志願するフリーランスの看護師は少ない。離島が嫌われている訳ではない。小笠原諸島や長崎・五島列島は人気があるという。
「夜中に救急車だ、救急外来だと騒いだところで、そんなものは島にない。医療資源がないから早めに病院に行かねば手遅れになると用心深く、礼儀正しい島民が多い。夜になって慌てて病院にやってきて、患者や家族が怒鳴り散らす沖縄とは対照的です。私たちは夫婦でダイビングをするので、沖縄に永住するつもりでしたが、半年で東京に帰ってきました。沖縄の医療を破壊しているのは、沖縄の人たちです」
さる看護師はアキレた表情で、そう話すのだ。子供の命は医療が守るが、誰が医療を守るのか。
(那須優子/医療ジャーナリスト)