河野洋平元衆院議長が会長を務める日本国際貿易促進協会の一員として、4年ぶりに中国を訪問した、沖縄県の玉城デニー知事。親中派として知られるその玉城知事の訪中にツケ込む形で、中国の習近平国家主席が不穏極まる動きを見せている。
話はおよそ1カ月前に遡る。6月4日付の中国共産党機関紙「人民日報」は、習近平が6月1日に中国の古文書を収集、展示している国家版本館(北京市)を視察した様子を報道。中国が領有権を主張している尖閣諸島が中国に属していたことを示す古文書らしきものの説明を受けた習近平が、次のように語ったことを1面で報じたのだ。
「(私が)福州市(福建省)で勤務していた時、琉球館や琉球墓があり(中国と)琉球との交流の根源が深いことを知っていた」
言うまでもなく、琉球とはかつての沖縄のことだ。そのため「玉城知事の訪中を好機と見た習近平が、尖閣諸島の場合と同じ屁理屈を弄して、いよいよ沖縄の領有権を主張し始めるのではないか」との観測が、日本国内で秘かに乱れ飛んでいたのだ。
習近平政権の内情に詳しい国際政治学者が明かす。
「実は訪中前、玉城知事はこの習近平の琉球発言について『今後の日中の交流発展に意欲を示したものと受け止めている』との見解を示していた。また、沖縄県議会で『習近平から、尖閣は昔から中国の領土だと言われたらどう答えるのか』と問われた際も『発言しないこともひとつの対応。即答しないことも必要ではないか』と答弁しているのです」
今回の訪中団の団長を務めた河野氏も、親中派として知られている。
「要するに、習近平に足元を見られたということです。中国が尖閣諸島どころか、本気で沖縄を狙っていることは、多くの専門家が警告してきた事実。さらに言えば『日本が台湾併合を邪魔すれば、中国は沖縄への侵攻も辞さない』とする恫喝も込め、習近平は今回、新たな『対日カード』を切ったということなのです」(前出・国際政治学者)
尖閣の次は沖縄──。とんだ「ドロボー野郎」が増長している。