9月にも行われる内閣改造の目玉として、小渕優子元経産相の存在が取り沙汰されている。官房長官、外相、幹事長などの重要ポストに就任するとの見方も出ているのだ。公明党も「新たな自公連立の象徴」として、小渕氏の抜擢を望んでいるという。
岸田文雄首相は、6月の通常国会会期末の解散を見送った。この背景には公明党の存在があったと、自民党幹部が明かす。
「東京選挙区の候補者調整がうまくいかず、自公間に亀裂が走っていました。立憲民主党に力がないとはいえ、1選挙区2万票といわれる公明票がないと、現有議席減は否めない。岸田首相の辞任も想定される事態になっていました」
解散を見送るやいなや、岸田首相は公明党との関係修復に乗り出した。6月27日には山口那津男代表と首相官邸で会談し、東京での選挙協力に大筋で合意した。6月30日には埼玉県さいたま市内で開かれた公明党の会合に、木原誠二官房副長官とともに菅義偉前首相が出席。菅氏は自公連立政権の意義を訴え、関係修復に乗り出す姿勢を示した。
「菅氏は岸田首相に対し、一定の距離をとっていましたが、岸田首相は自公政権の基盤強化が自らの政権維持につながると考え、手打ちしたという話が永田町に流れています」(全国紙政治部デスク)
公明党側からは、支持母体の創価学会も素直に支援できる「政権の顔が欲しい」との意見が政権側に寄せられているという。そこで小渕氏の存在がクローズアップされたのである。
父である故・小渕恵三氏は、自民党が公明党と連立政権を組んだ最初の首相。二児の母という点も、学会の好みに合う。平成研の中では茂木敏充幹事長より、小渕氏を派閥の領袖として推す声もある。公明党との関係が悪かった茂木幹事長の代わりに重要ポストにつけば、公明党にとっては痛快だろう。森喜朗元首相が小渕氏の後見人となっていることから、反岸田色の強い旧安倍派も、小渕氏には協力せざるをえない。
小渕氏はかつて自身の政治資金疑惑を追及された際、秘書が事務所のパソコンにドリルで穴を開け、姑息な「証拠隠滅」を図ったことから「ドリル優子」と呼ばれている。今回は難局を乗り切る「ドリル」となるか。
(健田ミナミ)