日本時間の7月1日夜から突如として始まった「API呼び出しの回数制限を超えた」メッセージが表示される、ツイッターの閲覧制限。ツィッターを運営するイーロン・マスク氏は7月2日、自身のツイッターアカウントを更新して「閲覧制限はサーバーメンテナンス処理を入れたいから一時的に制限を適用した」と釈明。その後、徐々に閲覧制限は緩和されたが、自分の投稿がリツイートも含めて10本しか閲覧できない、不便な仕様は続いている。
ツイッターから別のSNSに乗り換えようとしている人たちが注目したのが、旧フェイスブックのメタ社が7月6日から提供を開始した「スレッズ」だ。同じくメタが運営する「インスタグラム」と連動したサービスで、ツイッターのように文章を投稿し、共有できる機能を有している。サービス初日、全米では登録者数がわずか7時間で1000万件を超えたという。
だが、この「スレッズ」アプリ情報を見ると、利用者の「財務情報」、つまり携帯キャリアの支払いからSuicaなどの非接触決済アプリ、クレジットカード情報も収集するという。これ以外にも健康とフィットネス情報、ネット閲覧履歴から機密情報、位置情報、その他の情報まで個人データを収集される、と明記してある。
メタ社が運営するフェイスブックとインスタグラムでも同様の個人情報収集があり、識別に使われている。フェイスブックやインスタを使いこなすユーザーには「なにを今さら」感ではあるのだが、ツイッター社が収集している個人情報データと比べると、メタ社が収集する個人情報量は膨大なのが癪にさわる。イーロン・マスクも、ツイッターに紐付けされている個人情報が少ないため、収益に結びつかないことを認めているくらいだ。結局、「スレッズ」のダウンロードをやめ、しばらく様子を見ることにした。
スレッズやツイッターでは、「マイナンバーカードの個人情報漏えい」に怒っている人達の個人情報も、とっくに漏れている。「マイナンバーから個人情報を抜き取られる!」とせっせと抗議の投稿をしている間も、スマートフォンに入っている連絡先、この1週間どこに行ったか、何を食べたか、今日この「アサ芸プラス」サイトでどんな記事をクリックしたか、スマートウォッチで計測した脈拍と酸素飽和度までが筒抜け。SNSにのめり込むほど、個人情報は逃げていく。電車遅延や災害情報をチェックするくらいが、ちょうどいいのだろう。
(那須優子/医療ジャーナリスト)