自民党の麻生太郎副総裁は、永田町では政局予測を外すことで「定評」があると言われる。自身の政権も解散時期を見誤り、2009年8月末の総選挙で自民党が惨敗し、野党に転落した。その時の屈辱は、安倍晋三政権の誕生によって副総理兼財務相に就いたことで忘れてしまったようだ。
7月9日付の北國新聞「総理は語る」インタビューでは、6月の通常国会会期末の解散騒動について「私は『風』を全く感じていませんでした」と、自身の読みが当たったと誇示してみせた。
麻生氏は今回の「解散風」報道について、次のように語ってる。
「マスコミ各社の取材能力の差が如実に出たのではないでしょうか。『解散はない』に比重を置いていた社もありましたが、その中で『ある』と見込んだ社には、私や茂木敏充幹事長に入り込んでいる記者はいないんですかね(笑)」
自身や茂木氏の言動を見れば、解散は最初からないとわかっていて、岸田文雄首相の発言に踊らされる必要はなかった、と言いたいようだ。
では、解散・総選挙はいつになるのか。麻生氏は言う。
「今秋の可能性もあれば、来年の通常国会の冒頭、あるいは来年度予算成立後、もしかしたら総裁選を終えた後かもしれません。まさにその時の情勢次第です」
つまり、全ての可能性を羅列しただけで、何も答えていないのだ。麻生氏はまた、「モテキング」などと呼ばれ、とかく評判のよくない茂木幹事長を絶賛。
「仕事をしていて、評価も高いと思います。いわゆる『学校秀才』タイプなら官僚にもたくさんいますが、茂木さんには難しい話をさっと簡単に説明してみせる頭の良さがあります」
8月の内閣改造・党役員人事での留任に太鼓判を押したのだった。そしてマイナンバー問題で批判を浴びている、河野太郎デジタル相も擁護。
「押し切る力も、突破力も全く問題ない」
ただ、さすがに褒め過ぎと思ったのか、河野氏には「やはり丁寧さが必要」とし、「内閣改造で閣外に出た方がいい」とアドバイスした。
まさに、言いたい放題だが、82歳の自身の去就には言及しなかった。