今回で9回目を迎えるサッカー女子W杯オーストラリア・ニュージランド大会が7月20日から開幕する。日本代表なでしこジャパンは9大会連続出場となる。
今回の女子W杯の特徴の一つに、選手の待遇面がある。主催する国際サッカー連盟(FIFA)は出場全選手に最低3万ドル(約420万円)を分配することを決めており、勝ち上がるごとに金額は上がり優勝すれば27万ドル(3645万円)にまで増額される。
サッカー担当記者が語る。
「FIFAは女子選手の平均年俸が1万4000ドル(約189万円)という厳しい状況のなか、これまでになかった分配金の新設は画期的なことだと胸を張っています」
この分配金の出処は、FIFAが出場各国のテレビ局から徴収する放映権料をあてる。
FIFAのインファンティーノ会長は、世界各国のTV局は男子W杯の放映権料には1億から2億ドル(140~280億円)を払うのに、女子は100万から1000万ドル(約1.4億円から14億円)程度であることについて、
「世界中の女性へ平手打ちとしているのと同じだ!」
と放送局を痛烈に批判している。
昨年末の男子カタール大会では、ネット配信のAbemaを筆頭に、テレビ各局(NHK、フジテレビ)は総額350億円を払ったとされる。FIFAが今回日本側に提示しているのはその3分の1だが、総額100億円を超える巨額の要求だ。
「日本のテレビ局側は、日本戦だけでも放映させろと交渉しているようですが、それでも今のFIFAなら『1試合10億円』とか言いかねません」(前出・サッカー担当記者)
ただ、4年に1度のW杯でテレビ中継がナシとなれば、なでしこジャパンのメンバーにとっても死活問題と思いきや、
「チームからそんな空気は感じません。というのも、現地へはチーム史上初のチャーター便で向かうし、男子代表と同じく専属シェフも帯同する。オフィシャルスーツの支給もあるし、なでしこジャパンも過去最高の待遇ですからね」(スポーツライター)
国内で女子サッカー人気を盛り上げるのは2011年大会と同じく「世界一」しかないのだが、それは夢のまた夢のようだ。
(小田龍司)