高温多湿の夏は水虫が心配な季節。しかし、水虫以外の皮膚疾患にも注意が必要だ。水虫を疑って皮膚科を受診した人のうち、約3分の1の人が水虫とは異なる皮膚疾患と診断されるという。
水虫と間違えやすい皮膚疾患が「汗疱(かんぽう)」だ。汗疱とは、かゆみを伴う小さな透明の水疱ができる病気。「異汗性湿疹」とも言われる。
一般的に汗疱の水疱は手のひらに発症することが多いが、足の裏に発症する場合もあり、それが水虫と間違われやすい。夏場に多く見られ、特に汗をよくかく人に発症しやすい傾向がある。皮膚の炎症または何らかのアレルギー反応が原因と考えられている。
「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」も水虫と間違われやすい。これは、手のひらや足の裏に膿のたまった水膨れができる病気。関節に痛みを伴うケースもある。感染症ではないので、人にうつす心配はないが、よくなったり悪化したりを繰り返すため厄介だ。見た目で水虫と区別するのは困難だが、水虫よりも比較的赤みが強いのが特徴だ。
「カンジダ症」の発症を水虫と疑われる場合もある。これは水虫と同じ真菌(カビ)が原因で発症する感染症だ。水虫は原因菌である白癬菌という真菌に感染することで発症するが、カンジダ症は人間の皮膚や消化管などに存在している常在菌の「カンジダ菌」が原因となる。皮膚に発疹ができ、ふやけた状態になる症状が水虫とよく似ているが、一番の違いは「感染部と非感染部の境目がわかりにくいこと」だ。
注意したいのは、水虫をはじめとした皮膚疾患は、自己判断での治療は禁物だ。市販の水虫薬を用いた場合、効果がないばかりか、逆に悪化の恐れすらある。足裏の水疱やかゆみなど気になる症状がある場合は、必ず皮膚科を受診するようにしよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。