まさに波乱に満ちた人生である。
「14歳で高額納税者にランキング入りされたみたいで。未成年だったので親に全部、給料明細を預けていたんですけど。家が運送会社やっていて、トラックが十何台、増えていました」
こう語って笑いを誘ったのは、元モーニング娘。の加護亜依だった。先ごろ出演した「千鳥の鬼レンチャン」(フジテレビ系)でのことだ。
振り返れば加護は2006年2月、17歳の時に「FRIDAY」に喫煙を報道され、1年間の謹慎処分を受けた。ところが謹慎中の翌2007年3月、今度は18歳上の男性との温泉旅行と喫煙写真が「週刊現代」に掲載されると、所属事務所が契約を解除した。事実上の芸能活動休止を余儀なくされることになったのである。
だが、捨てる神あれば拾う神あり。2008年には芸能界復帰の布石として、契約解除された後悔からリストカットし自死を図ったことなどを、ワイドショーで赤裸々に告白。そんな加護が、2008年5月16日、復帰作となる香港映画「功夫厨神」の撮影で現地入りすることに。成田空港で記者会見を行うというので、筆者も取材に駆け付けたのだった。
契約解除以来、彼女が公の場に姿を見せるのは、約2年ぶりだ。カメラの猛烈なフラッシュに「ひゃ~、まぶしい」と嬉しそうに目を細める加護だったが、映画の質問はほんのサワリで、あとはプライベートな部分に質問が集中した。
「(自死未遂について)誰にも必要とされていないと思ったら、本当に苦しくて。多分、誰かに助けてほしかったんだろう思います」
まだ手首には傷跡が残っているそうで、
「ピーク時より16キロくらい痩せました」
なお、温泉旅行をともにした年上男性との交際については、
「お兄ちゃんという感じ。いろいろ相談しています」
とはぐらかしたものの、現在はタバコもミント味のガムと飴で代用し、頑張ってやめていると、にこやかに答えたのだった。
ところが、そんな加護が表情を一変させたのが、3カ月後の8月24日に行われた、自身のエッセイ「LIVE~未成年白書~」出版記念会見だった。出版前のPRとして受けた「週刊ポスト」のインタビュー記事(「加護亜依『17歳の処女喪失』『やめられないタバコ』を語る」)に、怒りをあらわにしたのである。
「言っていないことが書かれている。私の話し方がいけなかったのか、ファンの人はショックを受けていると思います」
とはいえ同著には、喫煙騒動を起こした17歳当時を振り返って、意味深な記述もあった。
〈とんでもない年になってしまったけど(中略)私の中ですごい好きな人もできた〉
むろん、これをどう読むかは読者次第だが、会場には「え~、今さらそこを取り繕うか」的な空気が漂うことになったのである。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。