90年代後半から2000年初頭にかけ、ワイドショーの主役として、連日世間を賑わせていたのが、羽賀研二と梅宮アンナの通称「平成のバカップル」だ。
実はこの2人、99年2月にアンナが羽賀に三下り半を突き付ける形で一度は破局している。しかし、その後も羽賀が復縁を迫り続けたことで、ワイドショーもこの話題を斬り捨てることが出来ないでいた。
そんな中で突如、羽賀と熱い夜を過ごした、としてメディアに登場し、「新たな主役誕生か!」とワイドショーを賑わせたのが、ダイナマイトボディーで人気のグラビアタレント・桜庭あつこだった。
Vシネで共演した2人は、ほどなくして羽賀が桜庭宅に泊まった際の様子が写真誌にキャッチされ、99年7月27日、桜庭が記者会見を開くことになった。
「撮影でのディープキスで恋に落ちました。羽賀さんが泊まったのは7月中旬ですが、近所の方に目撃されてしまって…。羽賀さんが泊まったのは、10回くらいかなあ。すごく素敵な方です。プレイボーイなのかなと思っていましたが、この人ってすごく純粋なんだなあ、って。私は羽賀さんが目の前で言ってくれた『好きだ』という言葉を信じます。私も羽賀さんが好きです。私が支えてあげなきゃって。かばってあげたくなりました」
さらに、アンナに対して、「私は羽賀さんが好きなので、アンナさんも好きなら堂々とよろしくお願いします」と挑発的に語ったことで、芸能マスコミは大いに盛り上がったものだ。
しかし、彼女の明け透けな発言に困り果てたのが、羽賀だった。関係者によれば、桜庭の会見を見たアンナパパこと、梅宮辰夫が激怒。電話で怒鳴りつける梅宮に対し、羽賀は「ボクを信じて下さい。すぐに記者会見して否定しますから」と平身低頭だったと伝えられる。しかし、羽賀の記者会見は行われなかった。その理由について、羽賀の事務所と親しいスポーツ紙記者が、こう明かしてくれたものだ。
「確かに羽賀から会見設定の要請はあった。でも、事務所としてはこれ以上本人にしゃべらせてボロが出たら、もうかばいきれない。で、マスコミにFAXを流すことで落ち着いたようだ」
結果、その日の夜、編集部に送られてきたFAXには、写真誌の記事を全面否定した上で「私の今の気持ちの中にいる女性は以前と変わらずアンナさんだけです」と記されていた。
一方、桜庭の事務所に連絡すると、担当者いわく、「桜庭が言っていることが100%事実です。それ以上、申し上げることはありません」とのこと。芸能マスコミは三つ巴となった事態のさらなるヒートアップを期待したのだが、その後は盛り上がることもなく、騒動は終焉してしまった。
1年後、桜庭は格闘家デビューを宣言するも、1戦のみで引退。結局、この時もボディーばかりが注目され、彼女は静かに芸能界からフェードアウトしていったのだった。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。