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掛布雅之 CSに対応できるクリーンアップとは?(1)

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 プロ野球は両リーグともにクライマックスシリーズ(CS)に進出するチームが決定しました。セ・リーグの第1ステージは阪神と広島が激突し、最終ステージで待つ巨人への挑戦権を賭けて戦います。

 おさらいすると、CSは2007年から導入された制度です。第1ステージでレギュラーシーズンの2位と3位が対戦。3試合制で勝利数が多い球団が最終ステージに進みます。最終ステージはリーグ優勝チームに1勝のアドバンテージが与えられたうえで、先に4勝したチームが日本シリーズ出場権を得ます。

 阪神は2年連続、5度目のCS出場となりますが、今年こそ負の歴史にピリオドを打ちたいものです。悲しいかな、過去4回は全て第1ステージで敗退しています。昨季は甲子園の左半分を真っ赤に染めたカープファンに圧倒され、2連敗で終了しました。

 球団としてのCS通算成績は、1勝8敗という屈辱の数字です。過去の阪神のCSでの戦いを振り返ると「絶対に勝ち抜いてやる」という気持ちが薄かったように思います。選手たちが春のキャンプから目指してきたのはリーグ優勝であり、2位、3位で出場するCSに奮い立つものがないのも理解できます。ですが、賛否はともかく、リーグで2位や3位でも日本一と認める制度がある以上、全力を尽くすのがプロとしての使命なのです。

 そして、今年の阪神は戦い方しだいで、日本シリーズ進出の大きなチャンスがあると見ています。鍵を握るのは打線です。

 本拠地最終戦となった9月30日のDeNA戦(甲子園)は散発の3安打で今季12度目の完封負けを喫し、9月の月間の負け越しが決定しました。投手陣の頑張りを打線が見殺しにする今季を象徴するようなゲームでした。終盤は1番の上本の不振で得点力が落ちました。CSでは彼の復調を期待するより、中軸の並びを変えて、打線の活性化を図るべきです。

 今季は開幕3番の西岡が故障で離脱して以降、1年間、3番・鳥谷、4番・ゴメス、5番・マートンのクリーンアップで戦いました。確かに個々の数字は及第点です。鳥谷は出塁率4割を超え、ゴメスも100打点を突破し、マートンも打率3割3分以上をマークしました。このメンバーを擁しながら得点力不足に泣かされたのですから、はたしてベストの打順だったのかどうか、大舞台を前に検証するべきでしょう。

 私はCSに限らず、来季は3番・マートン、4番・鳥谷、5番・ゴメスの並びがおもしろいと考えています。今の打線ではマートンの安打数を得点に結び付けることができていません。データを見ると得点の割合は出塁の25%ほど。例えばマートンと首位打者を争った広島の菊池は、出塁の約40%が得点となっています。他球団が阪神打線でいちばん恐れているのは、打撃が粗いゴメスよりも安定感のあるマートンです。彼をポイントゲッターとチャンスメイクの両方を担える3番に置くべきです。

 鳥谷も本塁打が2桁に届かないようでは3番打者として少なすぎます。4番に据えるのは逆転の発想です。マートンの後ろで「つなぎの4番」に徹すれば、一発は少なくても得点力は上がるはずです。

阪神Vのための「後継者」育成哲学を書いた掛布DCの著書「『新・ミスタータイガース』の作り方」(徳間書店・1300円+税)が絶賛発売中。

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