「母親の遺体をバラバラにして一部を食べた」
逮捕後の事情聴取でそんな戦慄の供述をした実の娘は、その理由を「霊媒師になるため」と語ったという。6月28日に発覚したこのバラバラ殺人事件は一部報道によれば、犯行に及ぶ数カ月前から、犯人の女は霊媒師のイベントに複数回参加していたとされる。
霊媒師のイベントとは、いったい何か。実はアメリカでは霊媒師が集う大規模イベントは多く開催されるが、それどころか、霊媒師が数多く暮らしている村がある。それがニューヨーク州北部にある交霊村で「リリーデール」と名付けられた小さなコミュニティーだ。
この交霊村では村のいたるところに「霊媒師 営業中」という看板が掲げられ、小さな店の中では霊媒師による交霊会や口寄せ(霊を自分自身に降霊させ、死者の思いを代弁する術)などが行われているというが、
「リリーデールは1879年に降霊術師たちのサマーキャンプとして創設され、19世紀後半には100万人を超える信者がこの村に集まったという伝説があります。ただ、当時はいわば誰でも霊媒師になれた時代。現在はこの村で店を開くためには、厳しい試験にパスしなければならないそうです。そして合格後、霊媒師として登録され、この村に店を出すことを許されることになるわけですが、毎年、更新テストがある。それに合格しなければ、霊媒師を続けることは許されません。つまりリリーデールの霊媒師たちは、ほかに比べ、高いクオリティーを保っているのです」(超常現象研究家)
通常、リリーデールの霊媒師たちは30分100ドル程度で、亡くなった家族や友人からのメッセージを「口寄せ」してくれる。村に設置された特設ステージでは、1日に2回の交霊会が開催される毎週定期的に、グループによる「口寄せ」も行われるという。先の超常現象研究家が言う。
「通年、週末には州の内外から多くの観光客が訪れますが、特に夏の時期にはスピリチュアルな体験を求め、3万人がこの村に押し寄せます。とはいえ、観光ビジネスとして成立する一方、現世と死後の世界を結ぶわけですから、霊媒師たちが抱えるリスクは大きい。いくら鍛錬を積んでも、降りてきた霊が体から抜けなくなるトラブルは少なくないと聞きます」
危険な仕事であることは間違いない。
(ジョン・ドゥ)