「日本の、一芸能事務所の問題を国際機関が調査に来るというこの事態、全く腑に落ちない」
Twitterにこんな投稿をしたことで物議を醸すことに──。デヴィ夫人のことである。
これはジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏の性暴力問題を巡るものだ。7月18日、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が訪日し、聞き取り調査を行うと発表したニュースを踏まえての反論だった。デヴィ夫人は続けて、その理由を語った。
「私はジャニー氏をよく知っている。事務所の子を我が子のように愛しく大切に可愛がり、ワゴンに沢山のお弁当を載せて自ら各楽屋に配っていた。ジャン・コクトーがジャン・マレーを愛したように、そのような特別な世界、関係性というものはある。ジャニー氏は半世紀にわたって日本の芸能界を牽引し、スターを育て、その非凡な才覚で何億何千万という人々を楽しませ、夢中にさせてきた。昨今の流れは偉大なジャニー氏の慰霊に対する冒涜、日本の恥である」
デヴィ夫人の口撃の矛先はなんと、性被害の告発者、そして東山紀之にも向けられた。
「ジャニー氏が亡くなってから、我も我もと被害を訴える人が出てきた。死人に鞭打ちではないか。本当に嫌な思いをしたのなら、その時なぜすぐに訴えない。代わってジュリー氏が謝罪も済ませているのに、これ以上何を望むのか。東山紀之氏は被害を訴えた元jr.たちの発言を『勇気ある告白』と表現し、『ジャニーズ』という名前の廃止についても言及した。その才能を見出し、育て、スターにしてくれたジャニー氏に対して、恩を仇で返すとはこのことではないか。非礼極まる。被害を訴えている人々は国連まで巻き込んで、日本国の日本人として、そんな権利がどこに与えられていると思っているのか。あまりにも嘆かわしく、恥ずかしい」
この一連の「放言」は当然ながら、大きな批判を浴びることになった。なにしろ山下達郎をはじめ、様々な芸能人や文化人が、ジャニー氏の性暴力問題を矮小化し、功績の部分を称える「論点ずらし」の手法に出ているわけだが、
「そこにはジャニーズを批判すると自身の仕事に響くという考えや、ジャニー氏との親交の深さから批判したくない思惑が見てとれます。デヴィ夫人も同様でしょう。『国際文化人が聞いて呆れる。功績と罪は分けて考えられないのか』との指摘はもっともだと思います。歯に着せぬ毒舌キャラながら、ジャニーズには忖度ですから」(芸能記者)
そんな「国際文化人」への一般人の怒りを代弁したのは、米山隆一衆院議員だった。自身のTwitterで、次のように言及したのだ。
「『愛国』と言うものの正体が、国の問題をなかった事にして、『自分達セレブ仲間』が『美しい存在』であり続けたいという要求に過ぎない事が良く分かるご発言です。本当に国を愛するなら、この様な事で苦しむ人を日本で作らない為に、問題点を明らかにし対策を講ずるべきです。『毒舌で人を罵倒して面白いから』と言う理由でこういう方をコメンテーターとして起用するなら、それは止めるべきだと、私は躊躇なく言わせて頂きます」
このツイートがネットユーザーの「反デヴィ」感情をさらに高ぶらせることになり、「デヴィ夫人みたいな老害タレントは見たくない」「セレブ仲間同士のかばい合いは気持ち悪い」「性被害を受ける子供たちがこれ以上出ないよう活動してください」などの声が上がるのだった。
国連の調査の結果、性暴力問題がどのように動くのか、注視したい。
(石見剣)